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脱藩藩士を捜す、蛇足屋勢四郎の前に現れた一刀流の手練

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忠義の果て 蛇足屋勢四郎(二)中村朋臣さんの文庫書き下ろし時代小説、『忠義の果て 蛇足屋勢四郎(二)』(光文社文庫)を入手しました。

鏡心明智流の使い手で、遊郭の用心棒から飼い猫探しまで、奉行所が聞き届けないような困りごとをそっと片付ける便利屋「蛇足屋」を営む、松波勢四郎が活躍する、シリーズの第二弾です。

困りごとを解決する「蛇足屋」松波勢四郎は岡場所を荒らす牢人を追い払う仕事を頼まれている。その仕事が片付かないうちに、新たに持ち込まれたのは、脱藩の罪で追われる藩士を捜すという一件。幼馴染みの与力・内藤藤十郎の力も借りて、源次と奔走する。この二件、元は一つであることが分かったが、勢四郎に恨みを持つ一刀流の手練、赤井が立ちはだかる……。
(文庫カバー裏の紹介文より)

勢四郎は岡場所の用心棒の仕事が片付かないうちに、国を抜けた友を捜してほしいという下総芝里藩(架空)藩士松下佐十郎の依頼を受けます。

松下の幼馴染みで藩の勘定方に出仕して、殿の信頼も厚かった秋山圭之介は、二年前に突然、藩の金三百両を盗んで出奔しました。松下は一月半前に、秋山の差料である小笠原長宗を芝片門前町の古道具屋の店先で見つけたそう。家中の者に内緒で友を捜しだしてほしいと。

「松波勢四郎……。まさか、こんな場所で出会うとはな」
 男も逆に、勢四郎を舐めるように、細い目をさらに細めて睨み返してきている。
 やはり、その殺気は尋常ではない。三間ばかりの距離をおいても、勢四郎の首筋には、ぞくりと得体の知れぬ冷気が走り抜けていく。
「なぜに俺の名を知る」
 勢四郎は、男の抜き打ちを恐れ、確かな間合いを取った。
「松波。……この俺を忘れたのか」
(『忠義の果て 蛇足屋勢四郎(二)』P.15より)

物語の冒頭で、岡場所の用心棒をつとめる蛇足屋の勢四郎の前に、強い殺気をはらんだ、右肩だけが異常に盛り上がった男が現れます。その手練の男は、以前に江戸見坂で戦ったことのある一刀流の使い手、赤井七右衛門でした。

本当に三百両を盗んで逃げたのか。脱藩藩士の行方と出奔の謎に加えて、遊里を荒らす凄腕の敵役の登場で、今回も本格的な剣豪小説が堪能できます。

目次
第一章 遊里
第二章 消えた長宗
第三章 女の行方
第四章 片手剣

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『蛇足屋勢四郎 困りごと、骨折りいたす』(中村朋臣・光文社文庫)(第1作)
『忠義の果て 蛇足屋勢四郎(二)』(中村朋臣・光文社文庫)(第2作)

中村朋臣|時代小説ガイド
中村朋臣|なかむらともおみ|時代小説・作家 1873年生まれ。 慶應義塾大学経済学部卒業。 2006年、「北天双星」で第12回歴史群像大賞優秀賞受賞。 ■時代小説SHOW 投稿記事 最強の二刀流vs闇の顔役、「人斬り左兵衛」シリーズ三部作、...