時代小説★単行本新刊情報|2025年7月の新刊(1日→末日)
2025年7月1日から7月末日の間に、単行本(新書含む)で刊行される時代小説、歴史関連書、古典日本文学の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。ピックアップした本のあらすじは、Amazon掲載の紹介文から抜粋し、編集しています。
→新刊情報リストを見る
武川佑さんの『龍と謙信』
父から越後守護代の地位を奪った長尾景虎(後の上杉謙信)への復讐のため、母によって“女”を捨てさせられた於龍。彼女は景虎を激しく憎みますが、当の景虎はどこ吹く風といった様子で、於龍のことを「面白(おもしょ)い奴」と気に入ってしまいます。
長尾家の重臣たちは、二人の婚姻を越後支配に利用しようと画策する一方で、甲斐の武田晴信(後の信玄)は、隣国への侵攻に向けた調略を始めようとしていました。
史料を丹念に読み解き、最新の研究成果を踏まえながら、生涯独身と言われてきた上杉謙信と、その妻とされる女性の半生を鮮やかに描いた歴史長編です。
真保裕一さんの『源家物語』
源義家は、父・頼義とともに奥州の厳しい戦いを乗り越え、東国を平定し、武者としての名声と武功高めていきます。その勢力を警戒した朝廷は、義家一門を陥れるための謀略を巡らせます。
弟・賀茂二郎義綱と結託して義家を罠にはめ、一族は血で血を洗う暗闘へと突き進み、ついには悲劇の結末を迎えます。
しかし、義家の三男・義忠は、源家の栄光を取り戻すべく、平正盛の娘を妻に迎え、その嫡男の烏帽子親を務めていました。その嫡男こそが、平清盛の養父となる忠盛です。
実は義家の母も平家の娘であり、父・頼義は源氏の興隆のために平家の力を借りていたのです――。
源氏と平家の複雑な血縁と因縁を縦糸に、武士の時代の胎動を描く歴史巨編です。
宮本昌孝さんの『松籟邸の隣人 (三) 盛夏の章』
藤沢の耕餘塾を卒業した後、いくつかの学府を転々としていた吉田茂は、20歳で学習院中等科に編入し、夏休みを大磯の別荘・松籟邸で過ごしていました。
隣人である天人は、茂にとって良き相談相手であり、常に茂を見守ってくれる頼もしい存在です。
やがて、日本人悲願の改正条約の施行日が訪れます。茂が敬愛する陸奥宗光が、心血を注いで締結に至ったものでした。
明治32年(1899年)7月17日――横浜は祝賀ムードに包まれていました。しかしその日、国際港の桟橋に豪華客船から降り立ったのは、天人を息子の仇と憎み、復讐の機会を狙う男だったのです。
迫り来る危機に、茂はどう立ち向かうのでしょうか。
茂と天人が力をあわせて敵に挑む、明治青春小説&活劇ミステリー第三弾。ついに完結です。
あさのあつこさんの『夫婦じまい えにし屋春秋』
これまでどんな厄介な依頼も解決してきた〈えにし屋〉のお頭・才蔵が、お初に助力を求めてきました。それは、「たやすく割のいい仕事」として引き受けた、米問屋「御蔵屋」の出戻り娘・お藍の新たな嫁入り先を探すというものでした。
一見簡単そうに思えたこの依頼に、なぜ才蔵がてこずっているのか。
米を扱う大店「吉井屋」に嫁いだものの、二年足らずで離縁され戻ってきたお藍は、今は実家で穏やかに暮らしていると言いながら、ふさぎ込んで怯えた様子を見せているというのです。
お初はさっそく調査に乗り出します。
親子・夫婦の情愛や怨恨――女着物に身を包んだ〈えにし屋〉お初が手繰り寄せる、若夫婦離縁の真相とは。
「結ぶも断ち切るも商いのうち」。
人気の〈えにし屋春秋〉シリーズ、待望の第三作です!
荒山徹さんの『更級忍法帖』
敵藩の奸計により、高須藩は改易の憂き目に遭います。男たちは戦いに敗れて荒野に斃れ、女たちだけが生き残りました。
「おのれ、このまま捨ておかぬ」――復讐を誓う乙女たち、その数、四十七人。彼女たちは妖術を習得するため、死と隣り合わせの修行に身を投じます。
しかし、敵もまた剣の達人や妖術師を配置し、周到に待ち構えていたのです。
乙女たちの戦いの行方は――。凄絶かつ痛快な復讐忍法帖です。
和田はつ子さんの『汚名』
「種痘所の設立のためならば、どれほどの汚名を受けようとも構わない」――。
天然痘の猛威と闘い続け、生涯を賭して人々を救おうとした幕末の医師の姿を描く、感動の歴史小説です。
時代の偏見と闘いながら、命を懸けて種痘の普及に尽力した医師の不屈の精神に、深い感銘を受ける一冊です。
伊東潤さんの『鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス』
希望の光となるのか、それとも時代の徒花に終わるのか――。
第二次世界大戦を目前に、大艦巨砲主義から航空主兵主義へと戦略思想が変化する中、米英海軍に対抗するために計画された、世界最大最強の戦艦建造計画。
絶対不可能と目され、54名もの殉職者を出したこの大プロジェクトに挑んだ青年たちは、何を夢見ていたのでしょうか。
戦後80年という節目に、歴史小説の第一人者が渾身の想いを込めて描き上げた、魂を揺さぶる畢生の大作です。
辻堂魁さんの『玉響(たまゆら)』
井伊家下屋敷の荷物方・島田正五郎に中間奉公する松井文平は、大番衆とその使用人を斬殺したのち、自ら出頭します。十一年にわたり心から仕えてきた主人の、狼藉者による無念の死を晴らすための仇討ちでした。
もとは飯田藩の武士だった文平は、中間に身を落とした今もなお、武士の志を失わなかったと評判になります。とはいえ、井伊家の家中で起きた刃傷沙汰であり、仇討ちとしての裁きの結果、文平には武士と同等の忠義が認められ、切腹が命じられます。
その介添え役を務めることになったのが、別所龍玄でした――(「一僕」より)。
中でも随一の腕利きとなった彼は、武士の切腹の際に介錯を頼まれるようになります。
厳かに命と向き合いながらも、慈しみに満ちた日々を家族と過ごす若き介錯人の矜持――。生と死のはざまに凛として咲く魂の物語。「別所龍玄」シリーズ、待望の最新刊です。
麻宮好さんの『天がたり』
江戸時代、両親を亡くした少年・心太は、辻占いをしながら日々を過ごしていました。
ある日、出会ったひとりの僧侶がきっかけで、心太には幽霊が見えるようになります。
人との出会いが胸を打ち、心の奥に静かに沁み入る、感涙必至の時代小説の傑作です。
平谷美樹さんの『安倍宗任伝 前九年・後三年合戦』
平安中期。陸奥国奥六郡を治める豪族・安倍氏は、たび重なる朝廷軍の侵攻に対し、一族の長・安倍頼良や、若き勇将である貞任・宗任兄弟の奮戦によってこれを退けてきました。
しかし、親王の密偵・木幡橿几の策略と、鎮守府将軍・源頼義・義家親子の率いる強大な軍勢により、安倍氏はついに滅亡の危機に追い込まれます。
そのとき宗任が繰り出した、驚くべき秘策とは――。
前九年合戦における朝廷軍との壮絶な死闘、そしてその後、陸奥の統治を任された清原氏の内紛に源義家の軍が介入することで、奥州藤原氏誕生の契機となった後三年合戦。
宗任の波乱に満ちた生涯を軸に描き出す、大河歴史巨編です。
森山光太郎さんの『戦ぎらいの無敗大名』
戦国時代、筑後の盟主・柳川の蒲池家。嫡男・蒲池鎮漣は気弱な性格から「姫若」と揶揄されながら育ちました。
永禄元年(1558年)、毛利元就の豊前侵攻により北部九州は混乱。大友家からの離反も相次ぎましたが、佐嘉の龍造寺が毛利と結託して築いた「大友包囲網」は、大友家に仕える鎮漣の活躍により崩れます。
以降、大友・龍造寺・島津の三勢力は拮抗し、裏切りが横行する中、鎮漣はただひたすら柳川の民を守るために戦い続けました。
「殺戮を増やすまじ」と願いながら、混沌の時代に光を放った名君――知られざる感動の一生を描いた戦国歴史小説です。
飯嶋和一さんの『南海王国記』
騎馬民族の侵攻を何度も退けた明の名将・袁崇煥は、宦官の讒言により処刑され、明王朝は崩壊への道を歩み始めます。若き崇禎帝は民の苦しみよりも権威の維持に固執し、ついに李自成の反乱によって明は滅亡しました。
その年、20歳となった青年・鄭成功は、沿海に名を馳せた海賊の子として生まれ、科挙を経て南京で儒学を学んでいました。
明の旧臣が次々と清に帰順するなか、鄭成功は「抗清復明」を掲げ、自らの国を築きます。台湾に興されたその国は、わずか22年間だけ、まるで幻のように輝きました。
激動の時代を背景に、理想に殉じた若き英雄の生涯を描く歴史大河小説です。
!おすすめ度
★:読みたい/入手したい
■:新装版/復刊
♪ :気になる/チェックしたい
▼前月の新刊情報(単行本)

▼新刊情報(単行本)Topへ

▼当月の新刊情報(文庫)

