時代小説●文庫新刊情報|2025年5月上旬の新刊(1日→10日)
2025年5月1日から5月10日に文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。おすすめの新刊の紹介文は、Amazonの内容紹介より抜粋・編集しています。各タイトルの詳細はAmazon.co.jpの紹介ページからご覧いただけます。
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潮文庫
鷹井伶さんの『てきてき 浪華のおなご医師と緒方洪庵』
「私、みなを救うお医者になりたい。」
江戸から単身、大坂へ――。
男たちの中にただひとり飛び込んだ、少女医師の成長物語です。
大坂の医師の家に許嫁として迎えられた亜弥。しかし彼女は、医師の妻ではなく、自らも医師になることを目指していました。名医・緒方洪庵が開いた適塾の門をたたき、女性として初めての入塾者となります。持ち前の食事療法の知識が評価され、洪庵からも一目置かれるようになりますが、ある日、体調不良を訴える男性に対し、自らの判断で誤った薬を処方してしまい……。
文春文庫
高瀬乃一さんの『貸本屋おせん』
第100回オール讀物新人賞、第11回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞した話題作です。
物語の舞台は、文化年間の江戸・浅草。女手ひとつで貸本屋を営む〈おせん〉の奮闘を描いています。盛り上がりを見せる読本文化の豊かさは、本好きなら時代を超えて魅了されることでしょう。
また、読本をめぐって〈おせん〉に降りかかる数々の事件に、彼女が立ち向かう捕物帖もスリルに富んでいます。
稲葉稔さんの『武士の流儀(十二)』
元・風烈廻りの与力、桜木清兵衛。事情があって家督を息子に譲り、今は若隠居の身ですが、揉めごとや困りごとを見過ごせない性分です。
そば屋を営む七兵衛は、大盛を格安で出すことで店を繁盛させていました。しかし、そのやり方が気に入らない父親と衝突します。たまたま居合わせた清兵衛は、放っておけず、事の成り行きを見守ることに――。
人気時代小説シリーズ、第十二弾です。
PHP文芸文庫
あさのあつこさんの『渦の中へ おいち不思議がたり』
医者を目指しつつ、女性としての幸せも諦めたくないおいちは、飾り職人・新吉との結婚を決意します。
しかし祝言の当日、商家『浦之屋』で毒物混入事件が発生します。おいちは祝言の最中に現場へ駆け付け、父・松庵とともに苦しむ人々の手当てに奔走します。
その後、『浦之屋』の若旦那の乳母が服毒死。犯人として名乗り出たのは、かつて菖蒲長屋に住んでいた巳助でした。
この世に思いを残して死んだ人の声が聞こえるおいちは、巳助が闇に呑まれていく姿を見て、事件の裏に何かあると確信。仙五朗親分とともに真相の解明に動き出します。
体調に異変を感じる中、おいちはこの奇怪な事件の謎を解くことができるのでしょうか。
青春「時代」ミステリー、第六弾です。
天津佳之さんの『尊氏と正成 ともに見た夢』
「利生(りしょう)」を胸に、後醍醐天皇とともに鎌倉幕府を倒した足利尊氏と楠木正成。彼らはなぜ、敵味方に分かれて戦うことになってしまったのでしょうか――。
第12回日経小説大賞を受賞した話題作、待望の文庫化です。
私利私欲が渦巻く政治の中、「民がおのおのの本分を果たし、生きる甲斐のある世を実現する」という理想を掲げ、尊氏と正成、そして後醍醐天皇という個性の異なる三人による建武の新政が始まります。
しかし、公家・武家ともに私利私欲の連鎖は止まず、やがて尊氏と正成の運命は引き裂かれていきます――。
「太平記」の時代を新たな視点で描いた、傑作歴史小説です。
『利生の人 尊氏と正成』を改題した作品となります。
祥伝社文庫
畠山健二さんの『新 本所おけら長屋(三)』
“人情とお節介”で知られる本所亀沢町の「おけら長屋」では、今日も笑いと涙の珍騒動が巻き起こります。
便利屋《万松屋》が大人気戯作の題材になる「のほほん」、三島でお満と再会した万造が、路銀をくすねた盗人を侠客の親分と追う「まねごと」、
黒石藩藩主・高宗が気弱な小姓を鍛えるために伏魔殿・おけら長屋へ送り込む「おおばけ」――珠玉の三篇を収録。
大人気時代小説シリーズの第三弾です。
徳間文庫
山本巧次さんの『角を曲がれば謎がある 大奥様陽だまり事件帖』
四百五十石の旗本・羽鳥弥左衛門の母、嬉代は六十三歳の寡婦で、屋敷の離れに住み、書を教え句会を開いて暮らしています。人の機微に通じた洞察力を持ち、多くの相談が寄せられます。息子の弥左衛門は優柔不断で頭が上がらず、嫁の民江は嬉代の大胆さに戸惑い気味。孫娘の那美は活発で聡明、嬉代とともに相談事の解決に関わることもあります。
ある日、嬉代の俳諧の集いに町名主が訪れ、大工の耕吉が道具箱を盗まれたと訴えます。耕吉は評判の若き棟梁で、仕事も早く安いため周囲から妬まれていました。証拠がなく、役人も動かない中、嬉代が調べを進めると、子を思う親心や職人の誇りが絡んだ真相が明らかに。嬉代の洞察力で事態は円満に解決します。
こうして今日も、江戸の小さな事件は、嬉代の知恵で穏やかに収められていくのです。
ちくま文庫
細谷正充さん編の『東海道綺譚 ――時代小説傑作選』
江戸・日本橋から品川宿、戸塚、箱根の関を越え、岡崎、四日市、そして京都まで――
豪華執筆陣による、時代小説アンソロジーです。
【編者】細谷正充
【収録作家】菊地秀行、京極夏彦、澤田瞳子、永井紗耶子、宮部みゆき、山田風太郎
北品川宿で「祟り柳」を祀り、繁盛していた旅籠「柳屋」。その祠を主人・吉兵衛が打ち壊したことで、数々の災厄が襲いかかります。その真相とは――(「柳女」)。
また、小間物商・伊勢屋の若夫婦が箱根への湯治帰りに戸塚で雨に見舞われ、足止めされます。相部屋となった老女が語る、身の毛もよだつ儀式とは――(「ばんば憑き」)。
江戸・日本橋を起点に、品川宿、箱根、岡崎、四日市、京都までをたどる、6つの旅物語をお楽しみいただけます。
!おすすめ度
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■:新装版/復刊
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