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天一坊は将軍の子か? 富士乃湯に関係者が全員集合の最終巻

『いい湯じゃのう(三) ご落胤の真相』|風野真知雄|PHP文芸文庫

いい湯じゃのう(三) ご落胤の真相風野真知雄の時代小説、『いい湯じゃのう(三) ご落胤の真相』(PHP文芸文庫)を紹介します。

肩凝りに悩まされる将軍徳川吉宗が、目安箱への投書をきっかけに、江戸市中の湯屋を訪れ、湯を堪能しながら謎を解く、ユニークな設定が光るシリーズ第3弾です。
吉宗の隠し子問題や幕府転覆を企む者たちも現われ、物語はますます混沌としてゆき、目が離せません。

天一坊が本当に「上さまの隠し子」かどうかの謎を解くべく、龍神温泉や宝泉寺温泉に探索に向かったお庭番・湯煙りの権蔵とくノ一・あけびは、驚きの事実をつかむ。そんななか、徳川吉宗がおしのびで訪れていた湯屋でもう一人・吉宗の子と目される人物が現れる。さらには、偶然、同じ湯屋で天一坊や、彼を利用して幕府転覆を企む者たちが一堂に会することになり……。スリルとユーモアで人気の時代小説シリーズ第三弾!

(『いい湯じゃのう(三) ご落胤の真相』カバー裏の紹介より)

お庭番の権蔵とくノ一のあけびは、吉宗が紀州にいた頃に出会った初恋の人の消息を求めて、紀州の龍神温泉から豊後国宝泉寺温泉に探索に来ました。
権蔵の師匠で、天一坊の師匠にもあたる湯煙り仙人の話を聞くためでした。

「はい、ありがとうございます。じつは、いろいろお訊きしたい話がありまして」
 と、権蔵は忠実な弟子の態度になって言った。
「なんだ、訊きたい話って。若返りの秘術は、かんたんには教えないぞ」
 そんなものもあるのだ。
 あけびはいま聞いておけば、将来、必ず役に立つだろうと思った。
「じつは、天一坊のことなのです」
「天一坊……」
 仙人の眉間に、意外に知性を感じさせる皺が寄った。
 
(『いい湯じゃのう(三) ご落胤の真相』P.128より)

権蔵とあけびは、湯煙り仙人から、天一坊と山内伊賀亮の話を聞き、動き出すのが少し遅すぎたかもしれないと心配までされました。一刻も早く江戸へ帰るべく、寄り道をせずに、江戸へたどり着きました。

勘定奉行の稲生正武と関東郡代の伊那半左衛門は、上さまの隠し子ではないかという噂を調べるため、天一坊を郡代屋敷に呼び出し取り調べをしました。しかしながら、天一坊の威厳と迫力に圧倒されてしまいました。

九月のとある日、この日入っていた将軍吉宗の予定が、次々に取り止めになり、丸一日、富士乃湯でゆっくりすることにしました。

同じ日、富士乃湯には天一坊が治療を行い、火消しの丈次と三太、売れっ子芸者の桃子もやってきていました。そこに吉宗、権蔵とあけびも加わり、さらに幕府転覆を企む者も現われたので、さあ大変。

関係者の大集合で、「隠し子騒ぎ」は一気に解決するのでしょうか?
権蔵らの探索報告をもとに、吉宗が真相を解き明かすはずが思いがけない事態に……。

おとないちあきさんが描く、1巻から3巻の表紙装画に描かれた登場人物たちのイラストが巻頭ページの「主な登場人物」紹介に再掲され、イメージが膨らみました。

ドタバタ劇が真骨頂で、何とも楽しくて、読み終えるとリラックスできる、温泉のような効能のある時代小説シリーズです。

いい湯じゃのう(三) ご落胤の真相

風野真知雄
PHP研究所 PHP文芸文庫
2022年5月23日第1版第1刷

装丁:芦澤泰偉
装画:おとないちあき

●目次
第一章 権蔵の実力
第二章 妙な引札
第三章 郡代屋敷へ
第四章 湯屋の効き目
第五章 湯煙り仙人
第六章 鉢合わせ
第七章 ぞくぞくと
第八章 何が何やら
第九章 吉宗の謎解き
第十章 雨中の決闘
終章 恵みの湯

本文288ページ

本書は2019年2月から2020年11月にわたって「河北新報」「新潟日報」「中国新聞」「福島民友新聞」「大分合同新聞」など各紙に順次掲載された作品を加筆修正したもの。

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『いい湯じゃのう(一) お庭番とくノ一』(風野真知雄・PHP文芸文庫)
『いい湯じゃのう(二) 将軍入湯』(風野真知雄・PHP文芸文庫)
『いい湯じゃのう(三) ご落胤の真相』(風野真知雄・PHP文芸文庫)

風野真知雄|時代小説ガイド
風野真知雄|かぜのまちお|時代小説・作家 1951年、福島県生まれ。立教大学法学部卒業。 1992年に、「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞しデビュー。 2015年に、「耳袋秘帖」シリーズで第4回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を...