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頼まれ事をこなすお市は、両親を殺した凶悪な盗賊を追う

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よろず屋お市 深川事件帖2 親子の情誉田龍一(ほんだりゅういち)さんの文庫書き下ろし時代小説、『よろず屋お市 深川事件帖2 親子の情』(ハヤカワ時代ミステリ文庫)を献本いただきました。

本書は、養父の営んでいた、よろず相談事を請け負う「ねずみ屋」を継いだお市の仕事ぶりを描くハードボイルド時代小説『よろず屋お市 深川事件帖』の続編です。

敬愛する元岡っ引きの万七が不審死を遂げ、養女のお市は遺されたよろず屋を継いだ。使い事や用心棒に人捜し、舞い込む頼みをこなすなか、かつて万七が取り逃がした盗賊・漁火の小四郎が江戸に戻っていることを知る。探索に乗り出したお市は、小四郎が犯した押し込みの陰で、じつの父と母が巻き込まれていた事実に辿り着く。何者かに両親を殺された、あのつらい過去にあらためて向き合うお市の運命は? 人情事件帖第2作。
(本書カバー裏の紹介文より)

主人公のお市は、八つのときに、目の前でじつの父と母を盗賊に殺されました。奉行所なども探索をしたはずですが、いまだに下手人はあがっていません。

両親を亡くしたお市を引き取ったのが、常盤町の万七と呼ばれて腕の良い岡っ引きだった万七でした。しかし、しばらくして万七は突然岡っ引きを辞めさせられてしまい、「ねずみ屋」という困り事、相談事、頼み事などよろずなんでも引き受けるという仕事を始めました。

養父万七が不審死を遂げ、天涯孤独となったお市は、小さい頃から教え込まれた体術とジーファーと呼ばれる琉球簪を武器に、「ねずみ屋」を引き継ぎます。

 その瞬間、お市は背後に殺気を感じた。
――危ない。
 すかさず横に飛ぼうとしたが、避けきれずに、ゴツッという鈍い音とともに、右肩に激痛を感じた。
「うっ」
 お市はそのまま、前のめりに倒れそうになったが、三歩行っただけで何とかこらえた。
 しかしそこへもう一撃、棒がお市の右足を直撃してきた。
「あっ」
 脛を叩かれたお市の右足は感覚がない。
――動けない。

(『よろず屋お市 深川事件帖2 親子の情』P.60より)

本シリーズの見どころの一つは、依頼人からの頼まれ事を解決するために、単身で探索を行います。事件の核心に近づくと、必ずといっていいほど絶体絶命の危険な目に遭います。お市は体を張って闘い、危機を乗り越えようとします。

ハードボイルドなストーリー展開が何とも魅力です。本書でもそんなシーンが盛り込まれています。

目次
序章
第一話 父娘無情
第二話 姉弟孤独
第三話 仕事失態
第四話 父母慕情

■Amazon.co.jp
『よろず屋お市 深川事件帖』(誉田龍一・ハヤカワ時代ミステリ文庫)(第1作)
『よろず屋お市 深川事件帖2 親子の情』(誉田龍一・ハヤカワ時代ミステリ文庫)(第2作)

誉田龍一|時代小説リスト
誉田龍一|ほんだりゅういち|時代小説・作家 1963年3月3日-2020年3月9日。大阪府出身。 2006年、「消えずの行灯」で第28回小説推理新人賞受賞。 ■時代小説SHOW 投稿記事 父になったり、同心になったり。人情手習い所の先生はた...