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人口激減、テロ、内乱、腐敗…、明治政府はいきなり崩壊寸前

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『教科書には載っていない 維新直後の日本』|安藤優一郎|彩図社

教科書には載っていない 維新直後の日本歴史家の安藤優一郎の歴史読み物、『教科書には載っていない 維新直後の日本』(彩図社)を紹介します。

本書では、明治維新から5年弱で直面した、崩壊寸前となった新政府、その知られざる危機をわかりやすく解説します。

明治維新直後の日本は、史上類をみないほどの大混乱に陥っていた。
新時代の到来というポジティブなイメージの強い明治維新だが、維新直後は事情が違った。東京では土地が荒廃し、京都ではテロが横行、諸藩が反政府的な動きをみせるなど、あらゆる問題が噴出していた。
日本人はそうした混乱といかに向き合い乗り越えようとしたのか。5年弱の激動の期間に注目して、明治維新を正負両面から描き出す。

(『教科書には載っていない 維新直後の日本』Amazonの内容紹介より)

戊辰戦争を経ることで幕末は終焉を迎え、明治維新が達成されました。その後の日本は西洋社会に追いつくため、富国強兵、殖産興業、文明開化をスローガンにまい進します。
明治維新については、教科書などでも、新時代の到来というポジティブなイメージで説明されることが多いように思われます。

 維新直後の負の側面は、いわば生みの苦しみである。維新に限らず、変革期は正負両面が際立つ時代だ。正の側面を評価するだけでなく、負の側面を乗り越えようと新時代に向けて進んだ人々の姿も視野に入れなければ、明治維新の歴史的評価はできない。

(『教科書には載っていない 維新直後の日本』「はじめに」 P.2より)

本書はそうした方針のもと、維新直後の日本に関する研究成果をベースにしながら、「維新直後の新首都は大混乱」「日本全国で不平不満が爆発」など、六つの視点に基づき、その実像に迫っていきます。

これらの切り口を通して、歴史教科書には載らない維新直後の日本を浮かび上がらせていきます。

たとえば、「04 東京の荒地を桑茶畑にしようとするが…」の項では、江戸の70%を占めた武家地のうちで、大名の広大な屋敷は官庁の用地や軍用地などに転用されましたが、幕臣の屋敷の多くは管理しきれず放置されて荒れ果てたままになっていたと書かれています。

 こうした東京の荒廃ぶりに、政府当局はただ手をこまねいていたわけではない。そこで打ち出されたのが、没収した武家地に桑や茶を植えつけることだった。明治2年(1869)8月20日、佐賀藩士で東京府知事を務めていた大木喬任の発案を受けて、桑茶政策と俗称される政策が布告される。
 桑か茶を植えつけたいと希望する者は希望の場所を東京府に申し立て、地所の払い下げを受けること。その後、4カ月以内に植えつけるように。もし他の作物を植えた場合は払い下げ地を没収するという趣旨の布告だった。

(『教科書には載っていない 維新直後の日本』 P.32より)

しかしながら、この桑茶政策は大失敗します。
屋敷として使われていた土地をいきなり開墾して桑畑や茶畑にしても育つはずがなく、実際に植えつけられた桑や茶のうち7~8割は枯れてしまったと言います。

本書では、このようにほとんど知られていない、明治政府の失敗や崩壊寸前の危機など負の側面を取り上げながらも、それらを乗り越えていった先人たちのしたたかさもあわせて描いていきます。

教科書には載っていない 維新直後の日本

安藤優一郎
彩図社
2022年4月21日第1刷

●目次
はじめに
第一章 維新直後の新首都は大混乱
01 江戸っ子に気を使いまくる新政府
02 不景気により荒廃していた東京の街
03 与力・同心が辞めかけて都市行政がピンチに
04 東京の荒地を桑茶畑にしようとするが…
05 人口激減により大暴落した東京の地価
06 一等地を格安で入手する福沢諭吉
07 荒地が牧場として蘇るも伝染病が問題に
08 投機目的のウサギ飼育が大ブーム

第二章 天皇が消えて衰退する京の都
09 東京遷都の既成事実化に苦慮する政府
10 政府機能を失って不安が蔓延した京の街
11 京都で横行した政府要人へのテロ
12 公家を盟主に攘夷実現を目指す志士たち
13 衰退する京の復興をかけた殖産興業政策

第三章 日本全国で不平不満が爆発
14 攘夷を捨てない久留米藩と政府の確執
15 再び戦乱に陥る寸前だった東北
16 維新を支えた兵士らと内乱になった長州藩
17 北海道開拓の裏に敗軍伊達家の執念あり
18 維新直後から限界だった諸藩の懐事情
19 課税強化に力でノーを突きつける庶民たち

第四章 新政府はいきなり崩壊寸前
20 西郷隆盛が嘆くほど腐敗した新政府
21 薩長の追い落としを狙う有力大名たち
22 政策の大転換の裏で起きた薩長VS土佐の争い
23 幕府貨幣や紙幣の大量発行で急場をしのぐ
24 諸藩による贋金造りが横行して経済が混乱
25 経験不足のため旧幕臣を大量採用する政府
26 士族の反発覚悟で政府が帯刀を禁じたワケ

第五章 文明開化の光と影
27 幕臣からエチケットを学ぶ岩倉使節団
28 反対続きで何度も頓挫しかけた鉄道建設
29 なぜ東京を大量の人力車が埋め尽くしたのか
30 馬車を通すために解体された江戸城城門
31 急な改暦の背景にあった極度の財政難
32 幕府の近代化に倣って外国人を大量雇用
33 文化復興の立役者となった外国人たち
34 過渡期だからこそ生まれた独特な建築
35 文明開化を視覚化したのはガス灯だった

第六章 新時代の生活がはじまったものの…
36 維新直後に事業進出した幕臣たちの奮闘
37 玉川上水の水質を悪化させ反発を受ける政府
38 キリスト教禁止が国際問題にまで発展
39 神道による国民教化に影を落とした廃仏毀釈
40 外国人が求めて初めて知った公園という概念
41 幕臣が発行する新聞が政府批判の受け皿に
関連年表

本文221ページ

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『教科書には載っていない 維新直後の日本』(安藤優一郎・彩図社)

安藤優一郎|著作ガイド
安藤優一郎|あんどうゆういちろう|歴史家 1965年、千葉県生まれ。歴史家。文学博士。 早稲田大学教育学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程満期退学。 主に江戸をテーマとして執筆・講演活動を展開。 ■時代小説SHOW 投稿記事 『30の神...