愛する孫のため、わるじいが、蘭学者を狙う悪徳与力と対決

『わるじい慈剣帖(五) あるいたぞ』|風野真知雄|双葉文庫

わるじい慈剣帖(五) あるいたぞ風野真知雄さんの文庫書き下ろし時代小説、『わるじい慈剣帖(五) あるいたぞ』(双葉文庫)をご恵贈いただきました。

元目付で隠居の身の愛坂桃太郎は、息子が芸者・珠子に作らせた外孫・桃子の可愛さにメロメロに。孫可愛さのあまり、遂には家を出て。孫と同じ長屋に引っ越して暮らすまでに。孫を溺愛するじいじながら、どんな奇妙なことでも裏にある秘密を明らかにしてしまい、謎解き天狗と呼ばれて一目置かれていました。

溺愛する孫桃子とその母珠子が住まう長屋に、息子の嫁の富茂がたずねてきた。夫が外でつくった桃子の存在を知らないはずの富茂の急な来訪に肝を冷やす愛坂桃太郎。なぜこのような事態になったのか。愛坂家の屋敷で妻の千賀に問いただすのだが……。一方で、長屋にあるエレキテルをめぐって対立をしていきた北町奉行所の与力森山平内との決着の時も間近に迫っていた。全ては愛する孫のため、此度もわるじいが東奔西走。大人気時代小説シリーズ第五弾!

(本書カバー帯の紹介文より)

珠子と桃子が暮らす坂本町の長屋に、桃太郎の妻である千賀と息子・仁吾の嫁の富茂(とも)がいきなりやってきました。

二人の訪問に慌てる桃太郎。
富茂が桃子が仁吾の子だとわかったらどうしようと、桃太郎はずっとヒヤヒヤしていました。

後で、桃太郎は駿河台の屋敷に行って、千賀になんで富茂をあの長屋に連れて来たのか訊きました。

 桃太郎はむかむかしてくるのを堪えて、
「なんで富茂をあの長屋に連れてきたのだ?」
 と、訊いた。
「だって、そうでもしないとまずいことになりそうでしたから」
「富茂がなにか嗅ぎつけたのか?」
「というか、お前さまが孫のような赤ん坊を背負って、町を歩いているという話を聞きこんだのですよ」

(『わるじい慈剣帖(五) あるいたぞ』 P.11より)

長屋に帰って、珠子に千賀とのやり取りを説明しました。

さて、孫を溺愛する桃太郎には、第二の心配事がありました。
にこにこ笑いながら、長火鉢のところで、掴まり立ちをする桃子を見て、火鉢にかけられた鉄瓶で火傷をしないか、心配でたまりません。

孫に火傷をさせないように縁の周囲に台を付けた火鉢を考え、指物師に注文に行きました。
高さが三尺もある背高の、凝った作りのおかしな火鉢を見かけました。指物師から、何のために使うものなのか、謎を解いてほしいと依頼されました。

同じ頃、長屋の店子が発明した、エレキテルをめぐって対立する北町奉行所の与力森山平内も、背高火鉢に注目していました。

ユーモアと痛快さが交互にやってくる、愛する孫のために奔走するじいじが魅力の人気シリーズの第五弾です。

わるじい慈剣帖(五) あるいたぞ

風野真知雄
双葉社・双葉文庫
2021年2月13日第1刷発行

カバーデザイン:國枝達也
カバーイラストレーション:室谷雅子

●目次
第一章 背高火鉢
第二章 引っ越しの訳
第三章 夜は悲し
第四章 赤い雪

本文244ページ

文庫書き下ろし。

■Amazon.co.jp
『わるじい慈剣帖(五) あるいたぞ』(風野真知雄・双葉文庫)

風野真知雄|時代小説ガイド
風野真知雄|かぜのまちお|時代小説・作家 1951年、福島県生まれ。立教大学法学部卒業。 1992年に、「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞しデビュー。 2015年に、「耳袋秘帖」シリーズで第4回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を...