歴史伝奇のレジェンドが描く、骨皮道賢と応仁の乱の地獄模様

『血と炎の京 私本・応仁の乱』|朝松健|文春文庫

血と炎の京 私本・応仁の乱朝松健(あさまつけん)さんの文庫書き下ろし時代小説、『血と炎の京(みやこ) 私本・応仁の乱』(文春文庫)を入手しました。

伝奇歴史時代小説のレジェンド、朝松健さんの最新作が文春文庫から、しかも、文庫書き下ろしで登場するのが、なんともうれしいです。
しかも、著者の得意とする室町時代を舞台にしているということで、大いにそそられます。

日本史上最悪の戦乱、応仁の乱。それはただの戦さではなく、花の都を縦横に走る塹壕で切り刻み、屍で埋め尽くした地獄だった。血と炎の中、救済を求めて彷徨う将軍の妻・日野富子と、宿敵・山名宗全への復讐のため戦場を這いずる男・骨皮道賢。室町伝奇を描き続けてきた鬼才が書き下ろす入魂の歴史伝奇。田中芳樹氏、推薦。

(カバー裏面の説明文より)

応仁元年(1467)晩春、八代将軍義政の正室日野富子は蓮如に会うため、江州堅田に向かいました。山名宗全と細川勝元が、大乱を始めようとした頃でした。

しかし、富子が蓮如に会い、「南無阿弥陀仏」の六字称名をに求めるのは、濁世の救済のためではなく、何年も心身を苦しめる凄まじい“渇き”への癒しでした。

(わたくしはもう堪えられませぬ。……作庭のほかには何も考えられない我が夫に。そんな夫を、元服前の子供のように甘やかしてきた姑に。将軍家をよそに張り合う山名宗全殿と細川勝元殿に。薄馬鹿のような夫の弟の義視に。そして……)
 
(『血と炎の京 私本・応仁の乱』P.12より)

本書のもう一人の主人公は、骨皮道賢(ほねかわどうけん)です。
野盗のような奇妙な二つ名を持ち、所司代多賀高忠に仕えた足軽の頭目と言われています。史料にはわずか6日間の記録しか残っていない、謎の人物です。

物語の第二篇で、深手を負って瀕死の道賢が、琵琶湖のほとりで東軍総大将細川勝元に命を助けられて、侍所の目付に取り立てられる場面が描かれています。

勝元をして「戦場に生まれた鬼だ」と言わしめた、道賢を通して、応仁の乱をどのように描いていくのか。
行間から血の匂いが漂ってくる伝奇小説に興奮して眠られなくなりそうです。

血と炎の京 私本・応仁の乱

朝松健
文藝春秋 文春文庫
2020年12月10日第1刷

カバー:城井文平

●目次
第一篇 春の渇き ―富子と蓮如(I)―
第二篇 地の底の戦場 ―道賢と宗全(I)―
第三篇 南無卒塔婆八万本 ―富子と蓮如(II)―
第四篇 異形の夏 ―宗全と勝元―
第五篇 山名宗全を討て ―道賢と宗全(II)―
第六篇 白く長い道 ―富子と蓮如(II)

本文428ページ

文庫書き下ろし。

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『血と炎の京 私本・応仁の乱』(朝松健・文春文庫)

朝松健|時代小説ガイド
朝松健|あさまつけん|時代小説・作家 1956年、北海道札幌市生まれ。東洋大学文学部卒業。 1986年、『魔教の幻影』(ソノラマ文庫)で小説家としてデビュー。 時代小説SHOW 投稿記事 時代小説ブックガイ...