花の吉原は化け物だらけ!? あやかし人情物語、誕生

吉原妖鬼談須垣りつさんの文庫書き下ろし時代小説、『吉原妖鬼談』(二見サラ文庫)を入手しました。

本書は、2016年、第2回招き猫時代小説新人賞優秀賞受賞作「花街奇譚」に、加筆修正して文庫刊行したものです。大賞は該当者なしで、応募作品の中で一番高く評価された作品となります。

招き猫文庫|白泉社
白泉社から新しいキャラクター時代小説シリーズが誕生! 斬新なカバーイラストレーション共に全タイトル文庫書き下ろし!

生者も亡者もすべて見える「トワズ」の血を濃く受け継いだ手習い所の師匠・六助。生真面目だけが取り柄の童顔晩生で妖怪変化の類は大の苦手。そんな六助が吉原で花魁の足抜けを助けている遼天に見込まれ、彼らの仲間に加わることに。大見世の花魁・銀華に心ときめいたり、小見世の女郎・茜に揶揄われたりしながらも、次第に自分の異能を受け入れていく六助。だが銀華の部屋替え先が化け物の巣食う廓とわかり…。。
(カバー裏の内容紹介より)

主人公の六助は、小間物問屋の六人きょうだいの末っ子で、生真面目だけがとりえで、花川戸の手習い所の師匠として、読み書き算盤を教えています。

生者も亡者も、魑魅魍魎妖怪変化、精霊や仙人に至るまで、すべて等しく同様に存在を感じてってしまう、トワズと呼ばれる異能を持っていました。

『ひとさまに聞かれるのは、はばかられる話だけども。うちのご先祖様には、人の姿をしてはいるけれども、怪しい、キツネとも狸ともわからん化け物と、契ったという人がおったのよ。わしの爺さまやそのまた爺さまたちは、その血のせいで妙なことになっちまった身内を、「トワズ」と呼んでいたのさ。どうやら六助も、それに違いないの』
『トワズ。私が、そのトワズなの。なんで、そんな名前なの』
 それはの、と祖母は可哀そうなものを見る眼差しを、垂れ下がった瞼を持ち上げて六助に向けた。
『生きとるものも、死んどるものも、みな同じように見える人たちだからじゃよ。生死問わず、鬼も天狗も問わずということさね』
 
(『吉原妖鬼談』P.7より)

そんな六助が兄の勘二に連れてこられた新吉原で、化け物や怪異を見てしまいます。
「なにが花の吉原だ、なにが極楽だ。怖い怖い、冗談じゃないよ」と逃げ出した六助は、張り見世で花魁銀華と言葉を交わすことになります……。

六助は、花の吉原で特殊な力を活かして活躍できるのか。楽しみなあやかし時代小説の登場です。

本書は、白泉社・招き猫文庫の文学賞の応募作品らしく、寝転んで気軽に楽しめる、新しいキャラクター小説という条件を満たしたエンターテイメント時代小説となっています

著者には、江戸の人情とあやかしたちの思いやりが紡ぐ少年武士の成長物語『あやかし長屋の猫とごはん』(二見サラ文庫)があります。

招き猫文庫の新刊が出なくなって久しいですが、二見書房から隔月で刊行されている、二見サラ文庫もキャラクター文芸レーベルということで、今後注目していきたいと思います。

カバーイラストレーション:禅之助
カバーデザイン:岡田歩(ヤマシタデザインルーム)

●目次
なし

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『吉原妖鬼談』(須垣りつ・二見サラ文庫)
『あやかし長屋の猫とごはん』(須垣りつ・二見サラ文庫)

須垣りつ|時代小説ガイド
須垣りつ|すがきりつ|時代小説・作家 2016年、「花街奇譚」(文庫刊行時に『吉原妖鬼談』に加筆修正し改題)で、第2回招き猫文庫時代小説新人賞優秀賞受賞。 ■時代小説SHOW 投稿記事 amzn_assoc_ad...