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ばれたら改易! 御法度破りのお国入り騒動記

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『おれは一万石 出女の影』|千野隆司|双葉文庫

おれは一万石 出女の影千野隆司(ちのたかし)さんの長編歴史時代小説、『おれは一万石 出女の影』(双葉文庫)をご恵贈いただきました。

本書は、崖っぷちの一万石小大名、下総高岡藩井上家に婿入りをした、美濃今尾藩竹腰家の次男、正紀の奮闘を描く文庫書き下ろし時代小説「おれは一万石」シリーズの第16巻です。

前巻『大奥の縁』で、正紀は同じく反松平定信派に与する、大奥御年寄滝川の難事を解決し、信頼を勝ち取ることができました。

そして、今回も新たな困難が、正紀と高岡藩を襲います。

正国の奏者番辞任で反定信の旗幟を鮮明にし、同じく反定信派の大奥御年寄・滝川と急接近した尾張一門。だが正国がお役を辞したことで、久方ぶりに参勤交代を行わなければならなくなった高岡藩は金策に奔走するhめになる。
なかなか都合がつかず苦労する正紀は、不足の金子と引き換えに、滝川から危険な依頼を引き受けるのだが、人気シリーズ第16弾!

(本書カバー裏の紹介文より)

大名家にとって、厄介ごとの一つに参勤交代があります。
将軍家による、大名統制の一環で、移動の時期や道中の経路まで、藩ごとに定められていました。

当主の移動だけでなく、石高に応じて多数の家臣を従え行列をしての移動になるため、多額の出費を伴います。多くの大名家では、資金の捻出に苦慮していました。

高岡藩は、これまで藩主の井上正国が大坂定番や奏者番といった役目に就いていて、参勤交代をしないで済んでいました。
ところが、反定信派の旗幟を鮮明にするために、奏者番を辞任した今、行列を調えて久々のお国入りをしなくてはなりません。

寛政元年師走。
高岡藩は、明年二月のお国入りを控えて、その準備と金策に追われていました。

そんな中で、世子・正紀は、小石川伝通院に代参でやって来た滝川に面会し、思いがけない提案を受けました。

「お国入りの行列に紛れて、わらわを江戸から出し、萩原村まで連れてゆくことはできぬか。無事に行って江戸へ連れ帰ることができるならば、一年分の四十両を前渡しにしてもよいぞ」
「ええっ」
 腰が抜けるかと思うくらい魂消た。滝川は乱心したのではないかと思ったくらいだ。

(『おれは一万石 出女の影』 P.100より)

出女は厳禁で、企みが露見した場合には、大奥御年寄であっても許されず、手引きをした高岡藩も重罪となります。

四十両を先払いで得られるのはありがたいが、危険が多すぎました。

「座興じゃ。気にすることはない。聞き流すがよい」という滝川の言葉に、正紀はほっとした気持ちになりましたが……。

高岡藩に恨みを抱く勢力の影がチラチラと見える中、御法度破りの女人を連れて、高岡藩のお国入りは危険がいっぱいです。

おれは一万石 出女の影

千野隆司
双葉社 双葉文庫
2021年3月14日第1刷発行

カバーデザイン:重原隆
カバーイラストレーション:松山ゆう

●目次
前章 新たな費え
第一章 行列の支度
第二章 危ない座興
第三章 漏れた企み
第四章 市川の関所
第五章 馬上の貴人

本文267ページ

文庫書き下ろし

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『おれは一万石 出女の影』(千野隆司・双葉文庫)(第16作)
『おれは一万石 大奥の縁』(千野隆司・双葉文庫)(第15作)
『おれは一万石』(千野隆司・双葉文庫)(第1作)

千野隆司|時代小説ガイド
千野隆司|ちのたかし|時代小説・作家 1951年、東京生まれ。國學院大學文学部文学科卒、出版社勤務を経て作家デビュー。 1990年、「夜の道行」で第12回小説推理新人賞受賞。 2018年、「おれは一万石」シリーズと「長谷川平蔵人足寄場」シリ...