巨悪が操る怪火に、火消たちは仲間、友、誰かを信じて闘う

『襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組』

襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組今村翔吾さんの大人気時代小説シリーズの第10弾、『襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組』(祥伝社文庫)を入手しました。

『襲大鳳(上) 羽州ぼろ鳶組』から1カ月半、待望の下巻。
尾張藩中屋敷の火事場で、元尾張藩火消頭取の伊神甚兵衛と出会ったぼろ鳶組の頭・松永源吾。甚兵衛は火消の英雄なのか、それとも復讐に支配された悪逆非道な火付けなのか。気になる結末は本書に持ち越しされています。

強く澄んだ眼差しは、火消のそれだった――。新庄藩火消頭“火喰鳥”松永源吾は、尾張藩中屋敷を襲う猛火の中、もう一人の鳳と邂逅を果たす。火事が特定の人物を狙った謀殺と看破した源吾だったが、背後には巨悪の影がちらつく。ぼろ鳶組の面々、同期の火消たち、そして妻深雪と子平志郎との絆が、源吾を一個の火消たらしめる。技を、想いを、火消の意志を繋げ!

(本書カバー裏の紹介文より)

尾張藩中屋敷の火事の翌日、松永源吾は、加賀藩火消大音勘九郎、町火消の蓮次、秋仁、仁正寺藩の柊与市らが集まりました。
次の火付けをいかに防ぐか、下手人は伊神甚兵衛なのか、真相を知るには幕府より先に甚兵衛を捕まえるしかな術がないという結論に。
そして、甚兵衛の探索は新庄藩に任せられました。

「親父は伊神甚兵衛を火消に戻せたのだろうか。それは俺が確かめなきゃならねえ。そのために……」
 源吾は伊神甚兵衛と三度目に出会ってより、自問自答し続けた考えを深雪に話した。
「そんなことですか」
 深雪は呆気なく微笑んだ。
「また苦労を掛けることになる。二度と会うことも叶わないかもしれねぇ」
 この先、どう転ぶか己でも解らない。幕府から罪に問われるだろうことをやろうとしている。
「必ず生きて帰ってきてください」
 源吾ははっと深雪の目を見つめる、

(『襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組』 P.66より)

源吾は秘策を胸に、この度の火付けで発生した爆発の原因を究明し、次の火付けへの備えを進めていきました。
ぼろ鳶組の主だった頭と他の火消組の頭たちに己の思惑を伝えました。
それから七日後、戸山にある尾張藩下屋敷で火事が発生しました……。
果たして源吾の目論見通りに、下手人は火事場に現れて捕まえることができるのでしょうか。

卑劣な火付けを繰り返して人々を震撼させる、凶悪で非情な巨悪に対して、火消たちは仲間を、友を、家族を、誰かを“信じる”ことを力に変えて立ち向かっていきます。

襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組

今村翔吾
祥伝社 祥伝社文庫
2020年10月20日初版第1刷発行

文庫書き下ろし

カバーデザイン:芦澤泰偉
カバーイラスト:北村さゆり

●目次
第六章 鉄の意志
第七章 信
第八章 若き銀杏よ
第九章 大音の男
第十章 その名、伊神甚兵衛
終章
あとがき

本文338ページ

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『襲大鳳(上) 羽州ぼろ鳶組』(今村翔吾・祥伝社文庫)
『襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組』(今村翔吾・祥伝社文庫)

今村翔吾|時代小説ガイド
今村翔吾|いまむらしょうご|時代小説・作家 1984年京都府生まれ。ダンスインストラクター、作曲家、埋蔵文化財調査員を経て、作家に。 2016年、「蹴れ、彦五郎」で第19回伊豆文学賞最優秀賞受賞。 2016年、「狐の城」で第23回九...