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西洋銃器も駆使し、攻撃力を増す座光寺藤之助

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佐伯泰英さんの『邪宗』を読み終える。「交代寄合伊那衆異聞」シリーズの第四弾になるが、ようやくこのシリーズの方向性が見えてきた気がする。日本と外国、保守と革新という対立軸を見せながら、展開していく幕末を舞台にしたエンターテインメント時代小説というところだろうか。

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邪宗<交代寄合伊那衆異聞> (講談社文庫)

直参旗本ながら参勤交代を義務付けられた交代寄合という特殊な立場の、主人公座光寺藤之助為清。長崎海軍伝習所の剣術教授方に就く。闇討ちを図った千人番所の佐賀藩士・利賀崎六三郎、茂在宇介を撃退し、出島で西洋剣術(フェンシング)と対決する。また、長崎の町年寄・高島了悦の孫娘・玲奈との出逢いにより、異国への眼を開く。その玲奈からの誘いで、きりしたんのミサを見学する。藤之助と玲奈の前に、隠れきりしたん狩りの達人で、大和柳生流免許皆伝の幕府小人目付の宮内桐蔵が立ちはだかる…。

玲奈より、スミス・アンド・ウエッソンの輪胴式連発短銃(リムファイヤーリボルバー)や散弾銃を与えられた藤之助が、攻撃力をさらにパワーアップするのがゲームっぽくて面白い。今回も見どころがいっぱいの痛快な冒険時代小説に仕上がっている。幕末の長崎という設定から、勝麟太郎(海舟)や伊豆戸田村の船大工上田寅吉、海軍伝習所総監・永井尚志など歴史上実在の人物たちも登場して興味深い。