時代小説と中一弥さんの挿絵

「小説新潮」とか「小説現代」のような文芸誌(というか小説雑誌)を読む機会は多くないが、時代小説を特集していたりして、たまに目を通すと楽しいのが挿絵だ。とくに、蓬田やすひろさんや柴田ゆうさん、百鬼丸さんとかお気に入りの画家の絵が載っていると、ちょっと得した気分になる。

そんな時代小説の挿絵画家に、中一弥さんがいる。池波正太郎さんの『剣客商売』の表紙を描かれた画家というと、「ああ、あの絵のタッチか」とピンとくる人もいるだろう。作家の逢坂剛さんの父上で、『重蔵始末』の装画も担当されている。

安部龍太郎さんの『生きて候』では、その中一弥さんの挿絵が数枚収録されている。往年の戦国時代活劇を髣髴させる墨絵のタッチで物語の世界を再現していて、何ともいい雰囲気だ。この絵を味わうだけでも、本を買って良かったと思う。

中一弥さんのことは、自伝である、『挿絵画家・中一弥―日本の時代小説を描いた男』に詳しい。絵を見てひかれた人にはおすすめしたい。

剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)

剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)

重蔵始末 (講談社文庫)

重蔵始末 (講談社文庫)

生きて候(下) (集英社文庫)

生きて候(下) (集英社文庫)