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「2021年6月中旬の新刊(文庫)」をアップ

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『要訣 百万石の留守居役(十七)』|上田秀人|講談社文庫

要訣 百万石の留守居役(十七)2021年6月11日から6月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2021年6月中旬の新刊(文庫)」を掲載しました。

今回は、上田秀人さんの文庫書き下ろし時代小説シリーズ、『要訣 百万石の留守居役(十七)』(講談社文庫)を取り上げてみました。

加賀百万石の若き留守居役・瀬能数馬が、各藩留守居役との駆け引きをしながら、藩の窮地を救う、痛快時代小説シリーズの最終巻です。

加賀百万石の筆頭宿老・本多政長は将軍・徳川綱吉に謁見したあともなお、江戸に留まる。神君家康の懐刀と言われた本多正信の血筋を引く重鎮である政長が、国許に戻らないため各藩の留守居役が加賀の若き留守居役・瀬能数馬に接触をしてくる。宿老不在の加賀では、越前福井松平家の国家老次席が訪れ、藩主の綱昌がかつて数馬に書かされた「詫び状」の返還を要求したのに対し、政長の息子である主殿は妙手を打つ。江戸城内、幕閣では、無役の名門・酒井家の処遇が取り上げられ、滞留中の政長と数馬にも影響が及ぶ。本多家に敵対してきた老中・大久保加賀守は代々の遺恨を晴らすために、配下に密かに命令を出す。加賀の前田家では、主殿が内紛をおさめた。一方ついに徳川御三家の紀州藩主が数馬の妻・琴を狙い動きはじめる。

(『要訣 百万石の留守居役(十七)(単行本)』Amazonの内容紹介より)

本シリーズの読みどころの一つは、剣の達人ながらも世知に疎い数馬を、本多正信の血筋を引く、加賀藩筆頭家老で宿老である、政長が権謀術数の世界に誘い教育をしていくところ。

加賀藩の内紛に加えて、加賀藩vs.福井藩、加賀藩vs.紀州徳川家の対立や、本多家vs.大久保家の遺恨など、さまざまな権力抗争に巻き込まれていき、目が離せません。

2013年11月の第1巻『波乱』発刊から7年半、大好きな作品の終幕で淋しい反面、どのような結末が用意されているのか、一ファンとして楽しみでなりません。

文庫●2021年6月中旬の新刊
時代小説●文庫新刊情報|2021年6月中旬の新刊(11日→20日)2021年6月11日から6月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。→...

■Amazon.co.jp
『波乱 百万石の留守居役(一)』(上田秀人・講談社文庫)
『思惑 百万石の留守居役(二)』(上田秀人・講談社文庫)
『新参 百万石の留守居役(三)』(上田秀人・講談社文庫)
『遺臣 百万石の留守居役(四)』(上田秀人・講談社文庫)
『密約 百万石の留守居役(五)』(上田秀人・講談社文庫)
『使者 百万石の留守居役(六)』(上田秀人・講談社文庫)
『貸借 百万石の留守居役(七)』(上田秀人・講談社文庫)
『参勤 百万石の留守居役(八)』(上田秀人・講談社文庫)
『因果 百万石の留守居役(九)』(上田秀人・講談社文庫)
『忖度 百万石の留守居役(十)』(上田秀人・講談社文庫)
『騒動 百万石の留守居役(十一)』(上田秀人・講談社文庫)
『分断 百万石の留守居役(十二)』(上田秀人・講談社文庫)
『舌戦 百万石の留守居役(十三)』(上田秀人・講談社文庫)
『愚劣 百万石の留守居役(十四)』(上田秀人・講談社文庫)
『布石 百万石の留守居役(十五)』(上田秀人・講談社文庫)
『乱麻 百万石の留守居役(十六)』(上田秀人・講談社文庫)
『要訣 百万石の留守居役(十七)』(上田秀人・講談社文庫)

上田秀人|時代小説リスト
上田秀人|うえだひでと|時代小説・作家1959年大阪府生まれ。大阪歯科大学卒。1997年、「身代わり吉右衛門」で、小説CLUB新人賞佳作受賞。2009年、2014年、「奥右筆秘帳」シリーズで、『この時代小説がすごい!』文庫書き下ろし第1位。...