気鋭の歴史時代作家10人が、戦国静岡の城を巡る短編で競演

『アンソロジー しずおか 戦国の城』

アンソロジー しずおか 戦国の城歴史・時代小説作家の団体、操觚の会(そうこのかい)の選抜メンバーによる歴史・時代小説アンソロジー、『アンソロジー しずおか 戦国の城』(静岡新聞社)を入手しました。

操觚の会は、2016年6月に商業作家による歴史小説の勉強会として創設されました。 “歴史小説イノベーション”を掲げ、歴史小説界に風穴をあけんと精力的に活動しています。

操觚の会 | 操觚の会は歴史小説界に風穴をあけんとする作家の団体として活動しています。

アンソロジーなど、書籍出版の企画を次々と実現していて、その創造力に加えて、企画力や発信力には目を見張るものがあります。

徳川、武田、今川、北条……群雄が割拠した時代。
静岡には駿河、遠江、伊豆の三国があった。
要衝に築かれた幾つもの城――。
そこは武門の意地と誇りがぶつかる最前線だった。

(本書カバー帯の紹介文より)

静岡の城というと、どの城が頭に浮かびますか?
私は、徳川家康によって曳馬城(ひくまじょう)から名を改められた、を三方ヶ原の戦いでおなじみの浜松城です。

「日本の100名城」には山中城、駿府城、掛川城が選ばれ、浜松城は興国寺城、諏訪原城、高天神城とともに「続日本の100名城」に選ばれています。

本書が面白いのは、メジャーな城ばかりでなく、堀川城や諏訪原城など知る人ぞ知るというお城をめぐる物語も描かれている点にあります。

関東の地図を見ると、10の城が静岡全県から選ばれていて、バランスよく配置されていることに気づかされます。

全編書き下ろしなので、作家たちが、どのように担当する城を決めていったのか、変なところが気になってしまいます。

「さて、その堀川城というは」
 固唾をのむ人々を前に、僧喜斎の物語は続く。
「気賀の人々が自らの身を守るため築いた砦で、細江の湖の北岸、都田川河口あたりの干潟にかつてはあった。その最大の特徴は、潮満つるときには四方を水で覆われて、舟がないと出入りができぬことだ。(後略)

(『アンソロジー しずおか 戦国の城』「時満つる城――堀川城語り」P.21より)

エース級の歴史時代作家の書き下ろし短編の競演にワクワクし、ミステリー作家の芦辺拓さんやファンタジーで活躍されている彩戸ゆめさんの本格歴史小説まで読めて、お得感と幸福感がいっぱいです。

懸川城(掛川城)を担当された、杉山大二郎さんのあとがきを読んで、操觚の会の創設メンバーでこの企画の中心にあって、2020年3月に急逝された、誉田龍一(ほんだりゅういち)さんのエピソードと、追悼の思いがびんびん伝わってきて、ウルっときました。

一気読みするのがもったいないくらい、一話ずつ、いや一城ずつ読んで楽しみたい一冊。

アンソロジー しずおか 戦国の城

芦辺拓・永井紗耶子・谷津矢車・坂井希久子・杉山大二郎・蒲原二郎・彩戸ゆめ・鈴木英治・早見俊・秋山香乃
静岡新聞社
2020年9月16日初版発行

書き下ろし

装幀:坂本陽一(mots)
装画・挿画:塚田雄太

●目次
地図「作品に登場するしずおかの城」
年表「しずおかの城をめぐる攻防と情勢」

『時満つる城――堀川城語り』(堀川城) 芦辺拓
『梅花の鏡』(諏訪原城) 永井紗耶子
『意地は曲がらず』(韮山城) 谷津矢車
『紅椿』(曳馬城) 坂井希久子
『残照』(蒲原城) 蒲原二郎
『風啼きの海』(下田城) 彩戸ゆめ
『最後の城』(掛川城) 杉山大二郎
『井川の血』(今川館) 鈴木英治
『返り咲きの城』(山中城) 早見俊
『老将』(高天神城)秋山香乃

あとがき

本文439ページ

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『アンソロジー しずおか 戦国の城』(芦辺拓・永井紗耶子・谷津矢車・坂井希久子・杉山大二郎・蒲原二郎・彩戸ゆめ・鈴木英治・早見俊・秋山香乃・静岡新聞社)
『幕末 暗殺!』(谷津矢車・早見俊・新美健・鈴木英治・誉田龍一・秋山香乃・神家正成・中央公論新社)
『伝奇無双「秘宝」 操觚の会書き下ろしアンソロジー』Kindle版(朝松健・谷津矢車・神家正成・早見俊・秋山香乃・新美健・誉田龍一・鈴木英治・芦辺拓・戯作舎)

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