吉本のバラエティ番組のような笑える痛快時代エンタメ

おわりもん高須光聖(たかすみつよし)さんの新感覚時代小説、『おわりもん』(幻冬舎)を入手しました。

著者は、ダウンタウンの松本人志さんと浜田雅功さんの幼馴染みでブレーン的存在。大学卒業後、彼らに誘われて放送作家となり、「ガキの使いやあらへんで!」「水曜日のダウンタウン」など、ダウンタウンのほぼ全ての番組を手掛け、「めちゃイケ」など数多くのバラエティ番組も担当しています。

混迷を深める戦国時代。明智光秀による本能寺の変を乗り切った織田信長だったが、その首を狙う者は多く、戦国の世はますます荒れていた。
そんな時代が産み落としたものに、親も仕事も何もない“おわりもん”と揶揄される者たちがいる。自由気ままに生きている“おわりもん”の五郎左衛門と又兵衛は、初めて参加する戦に前日の深酒で寝坊してしまう。だがその遅刻のおかげか、逃げていた敗軍の大将・藤田重盛に遭遇。藤田を助ければ褒美がもらえる喜ぶ二人。この時から、彼らの人生の大転換が始まった!
(カバー帯裏の紹介文より)

明智光秀の謀反を事前に知った織田信長が本能寺で光秀を迎え討ち、その謀反の首謀者として秀吉の首もはねてしまうという、衝撃の「序」からこの物語は始まります。

 六人の罪人が“賽の目坂”という山道に埋められ、土の中から首だけ出し、その後ろには、壱から六までの数字が書かれた札が立っている。

(『おわりもん』P.9より)

貧しい農民出の二人、五郎左衛門と又兵衛は、大名から大金をだまし取ったことでお縄になり、「賽の目の刑」を申し付けられました。彼らと同じような悪党六人が首だけ出して土に埋められて、その峠を通行する者は、欠けた茶碗の中にサイコロを振って、出た目の罪人の首を鋸で引くという残虐な刑です。

三人の罪人が首を斬り落とされて絶体絶命の極限状態のはずの二人。
ダウンタウンのバラエティ番組のコントのようなシチュエーションでもあり、もう一人の罪人で侍の宗之進を交えた掛け合いの面白さに引き込まれていきます。

映像が頭に浮かぶようなシーンですが、それもそのはず、著者自身が監督して2007年に「YOSHIMOTO DIRECTOR’S 100」の一本として製作した「賽ノ目坂」という映画になっています。YouTubeで予告編が公開されていて、キャスティングも魅力的で本編も観たくなりました。

YOSHIMOTO DIRECTOR'S 100 〜100人が映画撮りました〜

年末は、大晦日のダウンタウンの特番のように笑える、痛快時代エンタメを楽しみたいと思います。

目次

第一章 賽の目坂
第二章 甲冑峠
第三章 おしとづつの恋(春)
第四章 火洗いの関所(初夏)
第五章 最後の旅(夏の終わり~秋)

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『おわりもん』(高須光聖・幻冬舎)

高須光聖|時代小説リスト
高須光聖|たかすみつよし|作家 1963年、兵庫県尼崎市生まれ。龍谷大学経済学部経済学科卒業。 「ガキの使いやあらへんで!」や「水曜日のダウンタウン」などの放送作家。 ■著者のホームページ 高須光聖オフィシャルホームページ「御...