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大名から庶民まで面白エピソードで綴る、江戸時代は旅行天国

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『江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ』|安藤優一郎|朝日新書

江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ歴史家、安藤優一郎さんの歴史読み物、『江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ』(朝日新書)をご恵贈いただきました。

本書は、江戸時代のGo to トラベルを、面白旅行エピソードで綴り、その背景を読み解いていく歴史読み物です。

「旅行ガイドブック」を開いて、心うきうきと「買い物は何を? 芝居とのパッケージツアーはどう?」
これは江戸時代の庶民の姿――。

江戸中期、元禄年間から一大旅行ブームがわき起こった。成田へ伊勢へ善光寺へ、熱海・箱根の温泉へと庶民男女が繰り出した。
武士や公家、大名、将軍は――かなり可哀そう。
現代人もナットクの旅行エピソードと、その背景を解き明かす。

(本書カバー袖の紹介文より)

江戸時代は、オランダ商館長の江戸参府に随行したドイツ人医師も驚くほど、「旅行天国」だったそうです。
意外からもしれませんが、家庭に閉じこもりがちという印象を持つ、江戸の女性たちも実際はグループでよく旅行をしていました。

本書では、「庶民の旅の表と裏」「買い物、芝居――したたかな女性の旅」「大名の『団体旅行』は七難八苦」「乱暴極まりない武士・公家の旅」など、七つの章に分けて、記録や図版を紹介しながら、江戸時代の旅行の裏事情を解き明かしています。

「入り鉄砲に出女」はよく知られた言葉で、関所で江戸に鉄砲が運びこまれることに加えて、江戸へから出ていく女性を厳しくチェックして警戒していたことを表す言葉です。

関所では、密かに国元に戻ろうとする大名の妻女をチェックするために、「人見女」と呼ばれる女性を置いていました。
厳しいボディーチェックをして、関所を通過できるか人見女のさじ加減次第でした。

 袖元金が差し出されると、人見女は髪を解く格好をするだけで取り調べを終え、何も不審な点はないと報告する。人見女への袖の下が慣例化していくのは自然の成り行きであった。
 いつしか、袖元金の相場も生まれる。
 庶民階級の女性ならば最低二百文、上級身分の女性となると金一朱。どちらも五千円から六千円ほどだが、庶民の女性にとって決して少なくない出費だ。しかし、手形を作り直す手間や往復の旅費を考えれば安い出費だった。
 
(『江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ』P.78より)

緊急事態宣言が解除されて、行楽地からは紅葉の便りも届き、旅行への憧れと渇望が湧いてきました。

現在は、厳しい関所や人見女はいませんが、手ごわい新型コロナウイルスの感染リスクが待ち構えています。本書を旅のお供に、マスク着用、うがい、手指洗浄など、十分な感染対策を取って、安全な旅をしたいと思います。

江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ

安藤優一郎
朝日新聞出版 朝日新書
2021年10月30日 第1刷発行

カバーデザイン:アンスガー・フォルマ― 田嶋佳子

●目次
プロローグ――街道には旅人がいっぱい
第一章 庶民の旅の表と裏
(1)寺社参詣を促した講のシステム
(2)御師という旅行代理店
(3)温泉旅行ブームの到来
(4)仁義なき宿泊客争奪戦
第二章 買い物、芝居――したたかな女性の旅
(1)急増する女性たちの旅
(2)関所という難関と袖の下
(3)女性七人、男性一人の旅日記
第三章 大江戸、人気観光地となる
(1)幕府による観光地開発
(2)浮世絵に描かれた盛り場の賑わい
(3)全国の寺社が江戸に集まる
第四章 大名の「団体旅行」は七難八苦
(1)江戸参勤の下準備と意外な持ち物
(2)海路もあった参勤交代
(3)行動はいつも想定外の連続
(4)宿場との金銭トラブルが頻発する
第五章 乱暴極まりない武士・公家の旅
(1)将軍の権威を傘に着た幕臣の出張旅行
(2)日光例幣使で財産を築いた貧乏公家
(3)藩士たちの引っ越しの旅
第六章 自粛を求められた将軍の旅
(1)将軍が城外に出ると銭湯は休みとなった
(2)大名庭園で疑似旅行
(3)「従軍絵師」が描いた将軍の上洛
第七章 外交使節、江戸への行く
(1)オランダ商館長の「参勤交代」
(2)朝鮮通信使とおもてなしの食事
(3)琉球使節の「江戸上り」
あとがき
参考文献

本文244ページ

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『江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ』(安藤優一郎・朝日新書)

安藤優一郎|著作ガイド
安藤優一郎|あんどうゆういちろう|歴史家 1965年、千葉県生まれ。歴史家。文学博士。 早稲田大学教育学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程満期退学。 主に江戸をテーマとして執筆・講演活動を展開。 ■時代小説SHOW 投稿記事 『30の神...