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友との別れと異国の黄色粉の謎。江戸の「赤毛のアン」第3弾

『あんの青春 若葉の季 お勝手のあん(三)』|柴田よしき|時代小説文庫・ハルキ文庫

あんの青春 若葉の季 お勝手のあん(三)柴田よしきさんの長編時代小説、『あんの青春 若葉の季(とき) お勝手のあん(三)』(時代小説文庫・ハルキ文庫)を入手しました。

品川宿の老舗宿屋で働く、女中見習いのおやすを主人公とした青春時代小説「お勝手のあん」は、時代小説版「赤毛のアン」といったところです。
日常生活の中で起こる出来事や、江戸を襲った大地震を経験しながら、前向きに生きていく主人公の青春が描かれています。

昨年の大地震が残した爪痕も、ようやく幾らか薄れてきたように思えた頃。品川宿の宿屋「紅屋」では、おやすが見習いから、台所付きの女中として正式に雇われることとなり、わずかばかりだが、給金ももらえることになった。「百足屋」のお嬢さま・お小夜が嫁ぎ、おあつから別れの手紙を受け取るなど、寂しくもなるおやすだが、心配していた勘平の消息を聞き、「むら咲」の女料理人・おみねから出された謎も考えながら、充実した日々を送っていく――。時代小説版「赤毛のアン」、大好評シリーズ第三弾。

(本書カバー裏紹介より)

十六歳のおやすは、春から品川宿の老舗宿屋「紅屋」のお勝手女中と認められ、わずかばかりだが、給金もいただけることとなりました。
もともとは神奈川宿の旅籠に売られるところを、紅屋の大旦那に拾われて品川に連れて来られました。拾われたことから自分は、生涯、紅屋のもので、出て行けと言われるまでここで働くつもりと思っています。

おやすは、紅屋の台所では、焼き物を任されるようになり、毎日炭火と格闘しています。この春から、料理人頭の政一からは、包丁の研ぎ方も教わっています。

そんなおやすは、このごろ寝不足になっています。
お小夜、なべ先生、おあつなど、今は離れ離れとなってしまった親しき人たちのことをいろいろ考えて寝付かれません。
さらに、枕元に置いた小さな瓢箪が眠れなくさせているのでした。

 漆も塗られていない粗末な瓢箪。七味や粉山椒などを入れるもの。だが木栓を抜くと立ち昇る香りは強烈で、陶然となるような魅力的なものだった。おみねさんという、凛とした女料理人がやすに出した「謎解き」である。どこぞで異人さん相手の飯屋をやっている人から分けてもらったという、遠い異国の料理に使うものらしい。

(『あんの青春 若葉の季 お勝手のあん(三)』P.13より)

この香りの謎を解いてみなさい、と女料理人のおみねから渡しされた小さな瓢箪を、おやすは肌身離さず持ち歩いて、暇さえあれば木栓を抜いてその香りを嗅いでいました。

類まれな嗅覚を持つお安ですが、四カ月が経っても、香りの正体がわかりません……。

本書では、仲良しの「百足屋」のお小夜や、薩摩の姫・おあつとの別れに胸を痛めながらも。一人前の料理人を目指して修業を続けるおやす。

前向きに、思いやり深いおやすが成長していくさまに癒されます。
江戸の「赤毛のアン」第3弾も楽しみで、いっぱいです。

あんの青春 若葉の季 お勝手のあん(三)

柴田よしき
角川春樹事務所 時代小説文庫・ハルキ文庫
2020年12月18日第一刷発行

装画:鈴木ゆかり
装幀:荻窪裕司

●目次
一 勘平の消息
二 悲しい文
三 胡瓜と十六夜
四 薬の匂い
五 消息
六 かりい
七 幽霊と日本橋
八 奇跡
九 駕籠に揺られて
十 おちよの秘めごと
十一 恋の後始末
十二 別れ

本文319ページ

月刊「ランティエ」2020年4月号~2020年9月号までの掲載分に加筆・修正したもの

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『お勝手のあん』(柴田よしき・時代小説文庫・ハルキ文庫)
『あんの青春 春を待つころ お勝手のあん(二)』(柴田よしき・時代小説文庫・ハルキ文庫)
『あんの青春 若葉の季 お勝手のあん(三)』(柴田よしき・時代小説文庫・ハルキ文庫)

柴田よしき|時代小説ガイド
柴田よしき|しばたよしき|作家 東京生まれ。 1995年、『RIKO―女神の永遠―』で第15回横溝正史賞受賞。 ■時代小説SHOW 投稿記事 ■著者のホームページ・SNS 柴田よしき@sh...