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百人以上の刺客を斬りまくる、鷹森真九郎

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荒崎一海さんの『闇を斬る 霖雨蕭蕭』を読んだ。直心影流の剣客・鷹森真九郎が活躍するシリーズ第五弾。このシリーズの魅力の一つは、真九郎の見せるチャンバラシーン。毎巻、20人以上の刺客を倒していき、5巻めで既に100人斬りを果している。一冊の中で5、6回襲われるシーンがあり、それも平均4人の刺客と剣を交えている。最近読んだ剣豪小説の中では、群を抜いた数量である。

しかし、チャンバラシーンが多い割りに血なまぐささが薄く、主人公の真九郎に爽やかさを感じるのはなぜだろうか?

1.刺客を送る謎の軍団“闇”の悪行非道ぶりが際立っている

2.真九郎が愛妻の雪絵を護るためにやもえず剣を遣っている

3.真九郎は道場仲間や、町奉行所の役人の力を借りず、自分の宿命として刺客と対峙している

4.超人的な強さを見せるばかりでなく、敵の剣に傷ついたりすることもある

また、真九郎の前に出現する刺客には2つのタイプがある。

1.名前を名乗り、1対1の対決を望む

2.報奨金を目当てに、数人で真九郎を狙う

1のタイプは、止むに止まれぬ事由から刺客を引き受けてしまうが、真九郎にはちゃんとした剣の立合いを望む。結果、力や運に見放されて倒されるが、真九郎により懇ろに弔われる。2のタイプの刺客は、真九郎の外出先で待ち伏せして数人で襲う。刺客たちには名前すら与えられない。

 年齢は四十年輩、痩身細面だ。左が下段にとった刀身を返した。こちらはがっしりとした体格で、将棋の駒のごとい輪郭であった。

 箱崎側の二人も青眼にとった。左が大柄、右は中背だ。

 細面のほかは、いずれも三十代。

…(中略)…

 真九郎は、箱崎寄りで、河口側の欄干を斜め後ろにしている。

 細面の左右に、残り三名が弓なりになった。深川側から、将棋の駒、細面、大柄、中背だ。将棋の駒の斜め横に風呂敷包みと小田原提灯がある。

『闇を斬る 霖雨蕭蕭』P.273より

名前が出てこない分、不気味さというか得体の知れない怖さが表れていて逆に立合いシーンの緊迫感が高くなっているように思われる。

霖雨蕭蕭 (徳間文庫―闇を斬る (あ43-5))

霖雨蕭蕭 (徳間文庫―闇を斬る (あ43-5))