『土芥寇讎記』は藩主たちの通信簿

磯田道史さんの『殿様の通信簿』によれば、『土芥寇讎記』には藩主の官位・家紋・年齢・家族歴・領地のこと・藩士の風俗など細かいことまで書かれている。とくに藩主の性格や言動などの記述は興味深いものがある。

殿様の通信簿

殿様の通信簿

水戸黄門こと、徳川光圀については、女癖が悪くて色事にはまり、遊廓に通って、酒宴に興じていると書かれている。また、浅野内匠頭長矩は利発であるが、無類の女好きで、引きこもり行動も見られると記述されている。内匠頭は、女性の好みがうるさく、美女に目がなかった。そのため、家来たちは美女を捜し求めてきては、内匠頭のもとに差し出し、それを手づるに立身出世するのが当たり前になっていたとされている。散々な書かれようである。

あまりに辛らつな評価が多く、裏づけが難しいものが多いので『土芥寇讎記』の記載事項の真偽を疑う歴史家も少なくない。ただ、江戸初期は各藩に幕府の隠密が入り込んで監視していたと思われるので、案外正確な調査かもしれない。真相はともかく、ファンとしては、この書をネタ本に書かれた面白い時代小説が読みたい。

というわけで、獏不次男さんの『津軽隠密秘帖』を読み始めた。

津軽隠密秘帖

津軽隠密秘帖