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【新着本】光文社文庫2025年7月の新刊

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気になるシリーズ最終巻に、注目の新鋭のデビュー第2作も

光文社文庫の2025年7月の新刊から、おすすめの時代小説をご紹介いたします。
今月の注目作は、以下の5冊です。

有馬美季子(ありま・みきこ)さんによる人気シリーズの最終巻、『涙の朝 はたご雪月花(八)』
そして、『首ざむらい 世にも快奇な江戸物語』で注目を集めた新鋭、由原かのん(よしはら・かのん)さんが描く江戸もののけワールド、『ねこまた 狸穴素浪人始末』
さらに、五十嵐佳子(いがらし・けいこ)さんの人情時代小説シリーズ、『川開き 新川河岸ほろ酔いごよみ(三)』

戦国時代ものでは、2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」で話題の兄・秀吉を描いた佐々木功さんの『たらしの城』と、阿茶や細川ガラシャなど、歴史の大事にかかわった家中の女性たち七人を描く、木下昌輝(きのした・まさき)さんの『戦国十二刻 女人阿修羅』がそろっています。

今月も、読み応えのある充実のラインナップとなっております。

『涙の朝 はたご雪月花(八)』

涙の朝 はたご雪月花(八)(光文社文庫)有馬美季子
光文社・光文社文庫

カバーデザイン:片岡忠彦
カバーイラスト:おとないちあき

ここに注目!
著者の有馬美季子さんは、2017年に『縄のれん福寿 細腕お園美味草紙』で第6回歴史時代作家クラブ賞新人賞の候補となり、その後、「はないちもんめ」シリーズと「はたご雪月花」シリーズで第10回日本歴史時代作家協会賞シリーズ賞を受賞されました。

文庫書き下ろし時代小説のジャンルで、いまもっとも活躍している女性作家の一人です。本作は第8巻にしてシリーズの完結巻。隅田川を臨む浅草・山之宿町にある旅籠「雪月花」の若き女将・里緒を主人公に、人情と謎解き、料理と恋を織り交ぜた人気シリーズです。

齢二十五の里緒は、生家である旅籠〈雪月花〉の女将を務めて四年になります。ある事件をきっかけに、南町奉行所定町廻り同心・山川隼人と出会い、やがて恋仲となりました。

そんなある夜、隼人が〈雪月花〉に、血まみれの手下・亀吉と、見知らぬ若い娘を連れて駆け込んできます。山之宿町の小さないなりの前で、男たちに襲われていた娘を助けようとしたところ、隼人と亀吉が出くわし、娘をかばって亀吉が脇腹を刺されてしまったのです――。

娘の正体や襲撃の背景も気になるところですが、同時に、里緒と隼人の恋の行方にも目が離せません。シリーズの結末は、果たして大団円となるのでしょうか?

あらすじ
里緒が女将を務める旅籠〈雪月花〉に、南町奉行所の同心・山川隼人が血まみれの手下・亀吉と見知らぬ若い娘を伴って駆け込んできます。隼人によれば、襲われていた娘を助けたとのこと。
やがて娘が意識を取り戻し、語り始めたのは、あまりにも切なくやるせない出来事でした。襲撃事件の真相とは。そして、隼人と里緒の恋の結末は……。

心温まる「雪月花」シリーズ、感動の最終巻です。

(カバー裏の説明文より抜粋・編集)


目次

第一章 怪我をした娘
第二章 冬の日の弔い
第三章 吉原探索
第四章 暮れゆく年
第五章 桜ひとひら

2025年7月20日 初版1刷発行
本文303ページ
文庫書き下ろし

有馬美季子|時代小説ガイド
有馬美季子|ありまみきこ|時代小説・作家2016年、『縄のれん福寿 細腕お園美味草紙』で時代小説デビュー。2021年、「はないちもんめ」シリーズ、「はたご雪月花」シリーズで、第10回日本歴史時代作家協会賞文庫シリーズ賞を受賞。時代小説SHO...

『ねこまた 狸穴素浪人始末』|由原かのん

ねこまた 狸穴素浪人始末 (光文社文庫)由原かのん
光文社・光文社文庫

カバーイラスト:永岡郁美
カバーデザイン:髙林昭太

ここに注目!
著者の由原かのんさんは、2019年に第99回「オール讀物新人賞」を、”生きている首と旅することになった男”を描いた「首侍」で受賞されました。2022年には、同作を改稿・改題した「首ざむらい」を含む作品集『首ざむらい 世にも快奇な江戸物語』でデビューを果たしました。

表題作のほかにも、忍者や河童、猫又が登場するなど、不思議な味わいのある3編を収録した短編集でした。

本書『ねこまた 狸穴素浪人始末』は、デビュー第2作にして初の文庫書き下ろしとなる長編小説です。荒物屋に用心棒として雇われた浪人・猫矢又四郎と、その主家で飼われている黒猫・かちんの活躍を描いた本作は、著者がどのような方向に進むのかを占ううえでも注目の一冊です。

たっぷりと読み応えのある長編で、著者ならではの“江戸もののけワールド”を存分に楽しむことができます。

なお、前作『首ざむらい 世にも快奇な江戸物語』に収録された、又四郎とかちんが出会う物語「ねこまた」は、現在「本の話」WEBサイトでも公開中です。

選考委員も癒された新・癒し系時代奇譚 収録作「ねこまた」を大公開 第99回オール讀物新人賞受賞『首ざむらい 世にも快奇な江戸物語』(由原かのん) | 由原 かのん | ためし読み
「全編にわたって楽しい」(有栖川有栖)、「無条件に楽しんで読むことが出来た。ああ、面白かった」(乃南アサ)など、その独特なユーモアセンスと確かな筆致で第99回オール讀物新人賞を射止めた由原かのんさんの…

あらすじ
猫矢又四郎は、荒物屋に雇われている用心棒です。ある日、ひょんなことから、主家で飼われている黒猫・かちんと会話ができるようになります。

その頃、麻布飯倉町界隈では、交合中の男女が次々と刺殺されるという辻斬り事件が発生し、町には不穏な空気が漂っていました。怪しい風体の下手人の噂も広がり、騒ぎは大きくなっていきます。

そんな中、ある大名家から「黒猫を招きたい」との申し出が届きます。又四郎とかちんが屋敷を訪ねると、そこには、辻斬りと同じ装束をした人物が待ち受けていたのでした――。

(カバー裏の説明文より抜粋・編集)


目次

第一章 奥津城の媼
第二章 二十三夜の辻
第三章 星河をゆく舟
第四章 三日月の烙印
第五章 竜灯

2025年7月20日 初版1刷発行
本文262ページ
文庫書き下ろし

由原かのん|時代小説ガイド
由原かのん|よしはらかのん|時代小説・作家東京都生まれ。福井市内在住。2019年、「首侍」で第99回オール讀物新人賞を受賞し、2022年、受賞作を改題・改稿した中編を含む作品集『首ざむらい 世にも快奇な江戸物語』でデビュー。時代小説SHOW...

『川開き 新川河岸ほろ酔いごよみ』|五十嵐佳子

川開き 新川河岸ほろ酔いごよみ (光文社文庫)五十嵐佳子
光文社・光文社文庫

カバーイラスト:石野点子
カバーデザイン:荻窪裕司

ここに注目!
本書は、下り酒問屋「千石屋」の女将・麻と、主人の鶴次郎が、周囲で起こる風変わりな出来事を夫婦で解決していく、好評シリーズの第3弾です。

麻は店のひとり娘で、大柄で酒にめっぽう強く、情にも厚い性格です。一方、鶴次郎は上方の出身で下戸ながら、頭の回転が速く人当たりもよく、町内でも頼りにされる存在です。ふたりが祝言を挙げてから十五年。今も変わらぬ仲睦まじいおしどり夫婦です。

そんなふたりのもとには、さまざまな相談事が次々と持ち込まれます。麻と鶴次郎が、人情あふれるやりとりの中で問題を解決していく姿が、江戸の季節の風物詩とともに描かれています。

著者の五十嵐佳子さんは、ライターとして幅広いジャンルで活躍後、ドラマのノベライズ執筆を経て、文庫書き下ろし時代小説で注目を集めている作家です。キャラクター造形やストーリー展開の巧みさ、そして日常の中の問題を描き出す表現力に定評があり、固定ファンも多く抱えています。

あらすじ
下り酒問屋「千石屋」の女将・麻は、並の男より頭ひとつ分大きく、酒にめっぽう強くて情にも厚い女性です。対する主人の鶴次郎は、下戸ながら切れ者で、人々から頼られる存在です。

そんなふたりのもとには、密航した子どもの件や、なまりが抜けない役者のことなど、町で起こるさまざまな相談が舞い込んできます。季節の移ろいの中で人と人との触れ合いを描く、心温まるシリーズ第3弾です。

(カバー裏の説明文より抜粋・編集)


目次

第一章 笑う鉄砲狐
第二章 川開き
第三章 窮鳥とおにぎり
第四章 守り鈴

2025年7月20日 初版1刷発行
本文269ページ
文庫書き下ろし

五十嵐佳子|時代小説ガイド
五十嵐佳子|いがらしけいこ|時代小説・作家山形県生まれ。ライターとして活動した後に、作家デビュー。時代小説SHOW 投稿記事妻恋神社近くを舞台にした、心を癒す料理時代小説|『妻恋稲荷 煮売屋ごよみ』 2016年1月11日→五十嵐佳子の本(A...

『たらしの城』|佐々木功

たらしの城 (光文社文庫)佐々木功
光文社・光文社文庫

カバーデザイン:大岡喜直(next door design)
カバーイラスト:光嶋フーパイ

ここに注目!
2026年に放送予定のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」では、弟・豊臣秀長が注目されることになりますが、これまで彼を主人公に据えた小説は非常に少なく、登場する作品も決して多くはありません。秀吉に比べて、秀長は裏方としての役割が多く、また秀吉よりも早く世を去ったことも、その理由の一つと考えられます。

本書は、若き日の木下藤吉郎――後の豊臣秀吉――を主人公に描いた歴史小説です。目覚ましいスピードで出世していた頃の藤吉郎は、才気にあふれ、仲間を大切にする「人たらし」としての魅力を存分に発揮していました。

とくに有名なのが、本書でも描かれている「墨俣一夜城」の築城エピソードです。『武功夜話』(前野家古文書)に詳しく記されていますが、他の同時代の史料に記載が見られないことから、史料の真偽については議論が分かれています。

それでも、秀吉の颯爽とした活躍は、読む者の胸をすっきりさせる痛快さがあり、小説として大いに楽しめる内容です。後の天下人がこうした出世譚を経たと想像すると、物語としての魅力もより一層深まります。

あらすじ
織田信長による美濃攻めが始まります。斎藤龍興の支配する要衝・洲の俣に、一夜にして城を築き、敵のみならず信長までも驚かせた藤吉郎。その奇想天外な策略の数々が描かれます。

常に藤吉郎のそばには、野心家の兄を支える弟・小一郎の姿がありました。次々と加わる仲間たちとともに、藤吉郎一家は力を合わせて乱世を生き抜いていきます。

史上まれに見る出世街道を駆け上がる、若き豊臣秀吉の魅力あふれる物語です。

(カバー裏の説明文より抜粋・編集)

目次

第一章 考える猿
第二章 動く猿
第三章 かます猿
第四章 口説く猿
第五章 城つくる猿
第六章 吠える猿
最終章 ほらを吹く猿

2025年7月20日 初版1刷発行
本文377ページ

『たらしの城』(光文社、2023年1月刊)を文庫化したもの

佐々木功|時代小説ガイド
佐々木功|ささきこう|時代小説・作家大分県大分市出身。早稲田大学第一文学部卒業。2017年、『乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益』で第9回角川春樹小説賞を受賞しデビュー。時代小説SHOW 投稿記事→佐々木功の本(Amazonより)⇒時代小説作...

『戦国十二刻 女人阿修羅』|木下昌輝

戦国十二刻 女人阿修羅 (光文社文庫)木下昌輝
光文社・光文社文庫

カバーイラスト:影山徹
カバーデザイン:泉沢光雄

ここに注目!
本書は、「歴史が動いた一日(二十四時間)」を描く『戦国十二刻 終わりのとき』『戦国十二刻 始まりのとき』に続く、シリーズ第3弾です。

今回のテーマは「女人」。歴史の転換点に立ち会った七人の女性たちが、それぞれの運命に向き合った“濃密な一日”を描く短編集となっています。

登場するのは、徳川家康の側室・阿茶、細川忠興の妻・ガラシャ、諏訪大社の戦巫女・花、最上義光の妹で伊達政宗の母・義姫、毛利元就の次男・元春の妻・賛姫、大友宗麟の愛妻・ジュリア、そして織田信長の息子・信孝の母・千代の七人です。

彼女たちが迎える、生涯でもっとも密度の濃い二十四時間を、時が刻一刻と進む形で描いていきます。それぞれの一日は、本人にとってはもちろん、周囲の大切な人々にとっても運命を左右する日であり、さらに歴史上の転機でもあるという点に、本作の大きな魅力があります。

あらすじ
小牧・長久手の戦いで徳川家康に従い戦場へ赴いた側室・阿茶。関ヶ原前夜、石田方に屋敷を囲まれた細川ガラシャ。高遠城落城を目前に控えた、諏訪大社の戦巫女・花。伊達・最上和睦前夜の義姫。耳川の戦いで大友宗麟と運命をともにした愛妻ジュリア――。

歴史のうねりの中で、重大な決断を迫られる直前の十二刻(二十四時間)を、渦中にいた七人の女性の視点で描く、異色の時代短編集です。

(カバー裏の説明文より抜粋・編集)



目次

戦腹
殉妻
祈刀
醜愛
聖室
鬼妹
証母

解説 大矢博子

2025年7月20日 初版1刷発行
本文342ページ

初出:
「戦腹」(「小説宝石」2022年1・2月合併号)
「殉妻」(「小説宝石」2022年3月号)
「祈刀」(「小説宝石」2022年5月号)
「醜愛」(「小説宝石」2022年7月号)
「聖室」(「小説宝石」2022年8・9月号)
「鬼妹」(「小説宝石」2023年4月号)
「証母」(「小説宝石」2023年6月号)

『戦国十二刻 女人阿修羅』(光文社、2022年12月刊)を文庫化したもの

木下昌輝|時代小説ガイド
木下昌輝|きのしたまさき|時代小説・作家1974年、奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒。ハウスメーカー勤務後、フリーライターを経て、2012年、「宇喜多の捨て嫁」でオール讀物新人賞受賞。2014年、同作品で152回直木賞候補、2015...