永徳、等伯に続く、桃山時代最後の巨匠海北友松の生涯を描く

墨龍賦葉室麟さんの歴史時代小説、『墨龍賦(ぼくりゅうふ)』がPHP研究所から刊行されました。

海北友松(かいほうゆうしょう)は、近江の大名浅井長政の家臣の子に生まれながらも京の東福寺に入れられ、絵師になった。若き日の安国寺恵瓊と好誼を結び、明智光秀の側近斎藤内蔵助利三と出会い、友情を育んでいく。
そんな折、浅井長政が織田信長に滅ぼされ、海北家も滅亡する。そして本能寺の変……。命を落とした友のために友松がとった行動とは。

本書は、桃山時代に活躍した絵師・海北友松の生涯を描いた長編歴史時代小説です。
友松は、浅井長政に仕えた海北善右衛門綱親の三男として天文二年(1533)、近江国坂田郡に生まれました。父・綱親は、雨森弥兵衛、赤尾孫三郎とともに小谷三人衆と呼ばれた勇猛な武者として知られていました。

宋元画の影響を受けた水墨画が多く、代表作の一つ、建仁寺の「雲龍図」は、本書の装画に使われています。

 友松はじっと絵を見つめてつぶやく。
「還俗させぬ、と言われれば還俗せずにいられなくなる。絵師にはなれぬと言われればなってみせたくなる。皆、わたしのことをわかってはおらぬようだ」
(『墨龍賦』P.21より)

友松と同時代の絵師というと、狩野永徳(1543年生まれ)や長谷川等伯(1539年生まれ)が著名です。

永徳を主人公にした作品では、山本兼一さんの『花鳥の夢』や谷津矢車さんの『洛中洛外画狂伝―狩野永徳』があります。
一方、等伯を描いた時代小説の代表作には、安部龍太郎さんの『等伯』や萩耿介(はぎこうすけ)さんの『松林図屏風』があります。

本書と読み比べてみると、信長、秀吉の時代に、絵に命を賭けた男たちの世界が楽しめます。

2017年4月11日より、京都国立博物館で海北友松展が開催される予定。

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『墨龍賦』

『花鳥の夢』(山本兼一・文春文庫)
『洛中洛外画狂伝―狩野永徳』上(谷津矢車・学研M文庫・Kindle版)
『等伯』上(安部龍太郎・文春文庫)
『松林図屏風』(萩耿介・日本経済新聞出版社)

開館120周年記念特別展覧会 海北友松|京都国立博物館