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復刊した春陽文庫に、池波正太郎の直木賞受賞作『錯乱』

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『錯乱』|池波正太郎|春陽文庫

錯乱2022年9月に復刊された春陽文庫で、池波正太郎さんの『錯乱』を入手しました。

2023年は池波さんの生誕100年の記念の年です。
本書は、1960年に第43回直木賞を受賞した「錯乱」を含む五編を収録した短編集。

信州松代藩十万石。馬廻りの藩士・平五郎は、温厚な人柄で城下に知られ、誰もが盤を囲みたがる好人物。隠居中の先代藩主・真田信之にも気に入られ将棋の相手をさせられるほどである。ある日、藩主の信政が突如卒倒、三日後に没して城下は騒然となった。その報を聞いた堀平五郎の目に、一瞬、異様な鋭い光が走ったー。

(『錯乱』(春陽文庫)Amazonの内容紹介より)

「錯乱」は、信州松代藩に、親子二代にわたって隠密として入り込んでいた堀平五郎が藩主真田信政の死とその跡目を争う藩内の暗躍に、大きな役割を演じることになる物語。

九十三歳の藩祖真田信之と老中筆頭酒井忠清の対決が読みどころの一つです。

「わしが当家へ仕えるようになった三年ほどまえのことなのだが、殿の家来で馬場某というのが殿から罰を受けたのを恨み、逃亡して殿を幕府に訴え出たことがあったようだ」
「なんのために罰を……?」

(『錯乱』「錯乱」P.20より)

父で初代隠密の主膳は、二十数年前に馬場某が起こした事件の経緯を息子の平五郎に伝えました。
この事件は、本書に2番目に収録された短編「碁盤の首」でも描かれています。

真田ものは著者にとって、重要で、短編でも長編でも度々取り上げているテーマの一つです。
3編めの「刺客」も江戸中期の真田藩の名家老・恩田木工(もく)の時代を描いています。

そのほかには、大盗賊日本左衛門こと浜島庄兵衛の逮捕を命じられた、火付け盗賊改めの徳山五兵衛秀栄を描いた「秘図」、桐野利秋(旧名中村半次郎)に光を当てた「賊将」など、後に著者の手で長編小説で描かれる人物を取り上げた短編を収録しています。

本書は、後の国民作家が大きく飛躍をするきっかけとなる記念碑的な作品集です。
歴史ある春陽文庫が、本書をはじめとする往年の名作時代小説を復刊し、装いも新たに再スタートを切ったことは、ファンとして嬉しい限りです。
今後も新刊から目が離せません。

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錯乱

池波正太郎
春陽堂書店・春陽文庫
2022年9月30日新版改訂版第1刷発行

装画:堂昌一
装丁:高林昭太

●目次
錯乱
碁盤の首
刺客
秘図
賊将

本文317ページ

■Amazon.co.jp
『錯乱』(池波正太郎・春陽文庫)

池波正太郎|時代小説ガイド
池波正太郎|いけなみしょうたろう|時代小説・作家 1923年1月25日 - 1990年5月3日。 東京市浅草区聖天町に生れる。西町小学校を卒業。 1960年「錯乱」で第43回直木賞受賞。 ■時代小説SHOW 投稿記事 英雄か逆賊か、西郷隆盛...