【ご恵贈】羽鳥好之さん『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』

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『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』|羽鳥好之|早川書房

尚、赫々たれ 立花宗茂残照羽鳥好之(はとりよしゆき)さんの長編歴史小説、『尚、赫々たれ 立花宗茂残照(なお、かくかくたれ たちばなむねしげざんしょう)』(早川書房)をご恵贈いただきました。

タイトルの「赫々(かくかく)」とは、オンライン辞書のWeblioによれば、かっかくとも読み、強く光り輝くさまや、名声や功績、栄華などが華々しい様子を表す表現です。

立花宗茂は、戦国から江戸初期に生きた武将で、西国一の弓取りの意味で、「西国無双」と呼ばれた勇将です。関ヶ原の戦いで改易されながらも後に旧領を回復した唯一の武将でもあります、歴史小説で描かれることも少なくなく、上田秀人さんの『孤闘 立花宗茂』や葉室麟さんの『無双の花』などの作品があり、人気ある武将のひとりです。

神君家康がいかにして「関ケ原」を勝ち抜いたのか、考えを聞かせてほしい――
寛永八年、三代将軍家光に伺候した立花宗茂は、剣呑な諮問を受ける。その真意はどこにあるのか、新たな大名取り潰しの意図が潜んでいるのではないか、下命に強い不安を募らせる。答え如何によっては、家光の勘気に触れる恐れもあった。だが――先代秀忠の病いが篤くなり、親政に気持ちを昂ぶらせる家光が待つ御座の間で、宗茂はある決意をもって語り始める。やがて解き明かされる天下を分けた決戦の不可解さ、家康の深謀と西軍敗走の真相。勝敗の鍵を握った大名が召し出され、決戦前夜の深い闇がいま明らかになろうとしていた……
(カバー袖の説明文より)

本書を手にしてとくに興味を引くのは、三代将軍家光の御伽衆として仕える老残の身の宗茂を主人公にしている点と、参戦できなかった関ヶ原の戦いの謎が将軍の御前で明らかになっていく点にあります。
どのような話が飛び出すのか、今から楽しみでなりません。

長年、文藝春秋の敏腕編集者として多くの作家を育ててきた著者が退職して、書き手側に立場を変えて挑んだ歴史小説のデビュー作。
本書は、第13回日経小説大賞で最終候補となった作品を大幅に改稿したものだそうです。
執筆の動機について著者は、PRESIDENT Onlineで明らかにしています。

戦国時代が終わって「用済みの人間」になったのに…豊臣方の勇将・立花宗茂は、なぜ江戸幕府に重用されたのか 63歳の新人作家が、自身の境遇と重ねて考える
「定年後の人生」にはどう向き合えばいいのか。今年63歳で大手出版社を退職し、作家になった羽鳥好之さんは、戦国時代の勇将・立花宗茂の晩年にヒントを求めた。関ケ原で徳川家に敵対した大名のうち、旧領を回復したのは立花家だけ。「西国無双」と称賛され...

↓ 読了後のレビューはこちら

関ケ原の戦いに新解釈。西国無双と呼ばれた男の老境を描く
『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』|羽鳥好之|早川書房羽鳥好之(はとりよしゆき)さんの長編歴史小説、『尚、赫々たれ 立花宗茂残照(なお、かくかくたれ たちばなむねしげざんしょう)』(早川書房)を紹介します。プロフィールによると、著者は、文藝春秋...

※羽鳥好之さんの「羽」は、正しい表記では「羽」となります。

尚、赫々たれ 立花宗茂残照

羽鳥好之
早川書房
2022年10月25日発行

装幀:大原由衣
写真:Katsuaki Shoda/500px/Getty Images

●目次
第一章 関ケ原の闇
第二章 鎌倉の雪
第三章 江戸の火花

本文297ページ

■Amazon.co.jp
『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』(羽鳥好之・早川書房)
『新装版-孤闘-立花宗茂』(上田秀人・中公文庫)
『無双の花』(葉室麟・文春文庫)

羽鳥好之|時代小説ガイド
羽鳥好之|はとりよしゆき(羽鳥好之)|時代小説・作家1959年生まれ。群馬県前橋市出身。早稲田大学仏文科卒業。2021年、本作の原型となる作品「尚、赫々たれ 立花宗茂残照」が第13回日経小説大賞最終候補作となり、大幅な改稿を経て、作家デビュ...