江戸の街に木綿の橋を架けたい、五鈴屋に最高の好機の到来!?

『あきない世傳 金と銀(十) 合流篇』

あきない世傳 金と銀(十) 合流篇高田郁さんの時代小説、『あきない世傳 金と銀(十) 合流篇』(ハルキ文庫)を入手しました。

大坂から江戸に進出した五鈴屋の店主・幸(さち)は、最大の危機に対峙した第九弾『あきない世傳 金と銀(九) 淵泉篇』に続く、太物商として再出発を図る、シリーズ第十弾です。

呉服太物商でありながら、呉服仲間を追われ、呉服商いを断念することになった五鈴屋江戸本店。だが、主人公幸や奉公人たちは、新たな盛運の芽生えを信じ、職人たちと知恵を寄せ合って、これまでにない浴衣地の開発に挑む。男女の違いを越え、身分を越えて、江戸の街に木綿の橋を架けたい――そんな切なる願いを胸に、試行錯誤を続け、懸命に精進を重ねていく。両国の川開きの日に狙いを定め、勝負に打って出るのだが……。果たして最大の危機は最高の好機になり得るのか。五鈴屋の快進撃に胸躍る、シリーズ第十弾!!

(本書カバー裏の紹介文より)

如月、晦日。
五鈴屋の主人の幸をはじめ奉公人一同、今か今かと、型付師の力蔵と女房のお才、型彫師の梅松を待っていました。

力蔵らは、染め上げたばかりの木綿地の藍染めの反物一反を持ってきました。
藍色に白抜きの鈴と鈴緒の柄、心の躍る出来栄えの力蔵渾身の染物です。

妹結(ゆい)が女主人をつとめる「日本橋音羽屋」の悪巧みを警戒する、店の者たちや力蔵らを前に、幸は誰も考え付かなかった「寛ぎ着としての浴衣」で、大きな商運を掴もうという考えを話しました。

 新たな品を生みだし、潤沢に用意し、相手に付け入る隙を与えぬよう、一気に市場に躍りでる。男女の違いを越え、身分を越え、木綿の橋を架けることが出来たなら、乗っ取りを恐れる必要もなくなるだろう。
 店主の話にじっと耳を傾けていた皆の頬が、徐々に紅潮し始めた。
「橋を……橋を架ける……」
 賢輔の揺れる声を受けて、
「木綿の橋を架ける」
 と、佐助も繰り返す。
 江戸の街を藍色に染める勢いで、反物が浴衣に仕立てられる様子を、皆、夢想する。
 
(『あきない世傳 金と銀(十) 合流篇』P.51より)

試練続きの幸と五鈴屋ですが、今回は、困難にくじけずに、精進を重ねてきたことが報われ「最高の好機」を迎えそうな予感がします。

五鈴屋にとって、嬉しいことがあります。
五鈴屋大坂本店の番頭鉄助と一緒に、気のおけない女衆のお梅と幸の良き相談相手が江戸にやってきました。

三人がどのような騒動(?)を巻き起こすのかも楽しみな第十巻です。

あきない世傳 金と銀(十) 合流篇

高田郁
角川春樹事務所 ハルキ文庫
2021年2月18日第一刷発行

文庫書き下ろし

装画:卯月みゆき
装幀:多田和博+フィールドワーク

●目次
第一章 秘すれば花
第二章 初瓜
第三章 嚆矢
第四章 川開き
第五章 菊栄の買い物
第六章 切磋琢磨
第七章 羽と翼と
第八章 雲霓を望む
第九章 機は熟せり
第十章 揃い踏み
第十一章 昇竜
第十二章 あい色の花ひらく
巻末付録 治兵衛のあきない講座

本文317ページ

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『あきない世傳 金と銀(十) 合流篇』(高田郁・ハルキ文庫)
『あきない世傳 金と銀(九) 淵泉篇』(高田郁・ハルキ文庫)

高田郁(髙田郁)|時代小説ガイド
高田郁|たかだかおる(髙田郁)|時代小説・作家 兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。 漫画原作者を経て、2008年、『出世花』で小説家としてデビュー。 ■時代小説SHOW 投稿記事 ...