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剣に燃える不良剣士たちの再生を描く、熱血青春小説第3弾

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『希望 熱血一刀流(三)』|岡本さとる|時代小説文庫

希望 熱血一刀流(三)岡本さとるさんの文庫書き下ろし時代小説、『希望 熱血一刀流(三)』(ハルキ文庫)を入手しました。

小野派一刀流中西派(中西派一刀流)の剣術道場を興した、剣豪・中西忠太と落ちこぼれの弟子たちを描く、熱血剣豪小説シリーズの第3弾です。

練塀小路に剣術道場を構える、小野派一刀流の中西忠太。息子の忠蔵を含めた弟子たちは、俊英・藤川弥四郎右衛門との仕合で完敗を喫したのを契機に、さらなる剣の充実を目指し厳しい稽古に励んでいた。そんなある日、町で大喧嘩に遭遇した彼らは、仲裁に入るも逆に牙を剥かれ、挑発に乗って暴れてしまう。真っ直ぐすぎる弟子たちを心配する忠太は、新たな教えを説くが……。剣に燃え、生きる希望に満ちた不良剣士たちの再生を描く、傑作剣豪人情小説第三巻。
(カバー裏の内容紹介より)

小野派一刀流の遣い手の中西忠太は、小野道場を破門された五人と息子・忠蔵を門人にして、練塀小路に一刀流中西道場を立ち上げました。

剣術での仕官を目指しながら、中西道場も破門されてしまう、安川市之助。
幕府御家人の三男坊の新田桂三郎。
八王子の郷士の息子で、親許を離れて江戸へ剣術修行に来ている若杉新右衛門。
通旅篭町の医者の次男で、男伊達を気取って喧嘩に明け暮れる、平井大蔵。
大伝馬町の木綿問屋の次男で、祖先が武士だったことから剣客を目指す、今村伊兵衛。

五人の弟子たちは、生い立ちも家柄も違いながら、そろって剣術好きです。

 父・忠太に従い入門し直し忠蔵の他は、荒くれゆえの不行跡によって破門された曰く付きであるが、皆一様に同じ望みと決意を胸に、日々の激しい稽古に励んでいる。
 希望と、それを達成せんとする決意。
 この二つほど、若者を輝かせるものはない。
 だがその輝きは、時に自分の目さえ眩ませてしまい、一瞬前が見えなくなり行く先を見失ってしまう。
 
(『希望 熱血一刀流(三)』P.9より)

型と組太刀中心の小野道場の疑問を覚え、喧嘩に明け暮れて道場を破門となり、忠太に引き取られていました。

中西道場で、道具を着用した猛稽古で、めきめきと力をつけてきましたが、直心影流長沼道場の俊英・藤川弥四郎右衛門との仕合で、惨敗を喫しました。

その仕合は、道具着用の打ち込み稽古など、「子供の遊びにすぎぬ」と公言している、小野道場の御意見番・酒井右京亮率いる小野派一刀流道場の若手との仕合の前哨戦でもありました。

弥四郎右衛門に格の違いを見せつけられ、喧嘩度胸はあっても、剣術の神髄にまるで近付くことができないと立合で悟った六人は、防具を工夫し、自分たちの剣を高めることに没頭しました。

そんなある日、六人は、魚河岸の勇み肌の若者たちの喧嘩に遭遇し、仲裁に入ったところ、逆に魚河岸の連中と喧嘩する羽目に陥りました……。

剣に燃え、真っ直ぐで不器用な、不良剣士たちと悩み戸惑いながらも剣を教えてく忠太を描く、青春剣豪小説。
往年の青春学園ドラマ「スクール・ウォーズ」の江戸剣術版といったところで、今回も熱い!

希望 熱血一刀流(三)

著者:岡本さとる
ハルキ文庫
2020年10月18日第一刷発行
文庫書き下ろし

装画:山本祥子
装幀:五十嵐徹(芦澤泰偉事務所)

●目次
第一話 迷い道
第二話 剣客
第三話 希望

本文280ページ

■Amazon.co.jp
『熱血一刀流(一)』(岡本さとる・ハルキ文庫)
『胎動 熱血一刀流(二)』(岡本さとる・ハルキ文庫)
『希望 熱血一刀流(三)』(岡本さとる・ハルキ文庫)

岡本さとる|時代小説ガイド
岡本さとる|おかもとさとる|時代小説・作家・脚本家 1961年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。 2006年、新作歌舞伎脚本『浪華騒擾記』で第35回大谷竹次郎賞奨励賞を受賞。 その後フリーとなり、テレビ時代劇の脚本家、舞台作品の脚...