狂言作者、並木五瓶ってどんな人?

松井今朝子さんの『二枚目』の主人公並木拍子郎は、狂言作家並木五瓶の弟子という設定。芝居の種に使えそうな話を町で拾ってくるのが仕事。五瓶は、拍子郎の仕入れてきた話から想像をたくまくしく勝手な当て推量をするのを楽しみにしていた。しかし、物事を理詰めで考える性分のため、幽霊や祟りの話は芝居として見る分には面白いが、「それを本気で信じて怖がる者は、子供と阿呆だけじゃ」と常々口にしていた。

この捕物帳は、拍子郎が探索をして集めてきた材料に、五瓶がアームチェアディテクティブ(安楽椅子探偵)として、真相を推理するというのが基本パターン。二人のやり取りに絡むのが、料理茶屋の娘おあさと五瓶の女房小でん。江戸歌舞伎の世界を舞台に小粋で心優しい捕物小説ばかりである。

さて、並木五瓶(初世)は、goo辞書(三省堂提供「大辞林 第二版」より)によると、以下のように説明されている。

(1747-1808)(初世)歌舞伎脚本作者。大坂の人。並木正三の門人。安永(1772-1781)から寛政(1789-1801)にかけて、京坂と江戸の両所で活躍。合理性に富んだ作風で、時代物・世話物を独立させる方法を創始。代表作「天満宮菜種御供(なたねのごくう)」「五大力恋緘(こいのふうじめ)」「金門五三桐」など。

『二枚目』では、「並木五瓶は十年ほど前に大坂からやってきた、狂言作者」と紹介されているから、作品の舞台となる時代は文化初年ごろだろうか。