江戸の旗本の世界へようこそ

江戸学の巨星、三田村鳶魚さんの最後の弟子というキャッチフレーズがついた、小川恭一さんの『江戸の旗本事典 (講談社文庫)』を読了。いろいろな時代小説を読むと、旗本という存在がどんどんわかりづらくなっていく。いろいろな職能や石高、生活ぶりなどが、混同されていたり、作品中での説明が現代人には不十分なものだったりして、漠としかわからなかった。

江戸の旗本事典 (講談社文庫)』は、文庫ながら事典というタイトルに偽りはなく、「旗本八万騎(実際には寛政十一年末で五千百八十六家だったらしい)」の本当の姿が明らかになった。御家人との違い、交代寄合衆、幕府の人事と組織、御目見から死亡届まで、興味深い読み物になっている。

とくに「旗本の経済学」の章は、ためになった。旗本の序列を、(1)知行取り(石表示で生産地を支配する。石表示の約35%が収納率) (2)蔵米取り(俵表示。百俵で三十五石。年三回家禄を支給され、百俵につき金一分で札差より蔵米を受け取る) (3)現米取り(現米石表示。正味で現物を受け取る) (4)扶持取り(人扶持表示。一人扶持は一日に玄米五合が支給され、年一石七斗五升が支給される)と、明示している。

幕臣家禄については一石=一俵、現米三十五石=百俵、一人扶持=五俵で換算できる。なお、支給される米は玄米で、白米(精米の際に20%搗き減りする)や籾付米(倍の石数になる)ではない。家禄表示には必ず「高五百石」「高二十人扶持」のように高を入れるのが正しいとのこと。

さあ、時代小説を読むのが楽しくなってきた。

江戸の旗本事典 (講談社文庫)

江戸の旗本事典 (講談社文庫)

コメント

  1. 絶間 より:

    私の亡父の実家は静岡の三島が領地だったそうですけど、大叔母(っていうとかなり遠い?)は旗本に嫁にいき、慶喜が静岡に隠居したときにいっしょについていったという伝説(?)を聞きました。
    ちょっと旗本と知り合いっていうかーおほほほほ