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夏希と沙羅が乗った豪華クルーズ船で、恐るべき事態が発生

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『脳科学捜査官 真田夏希 インテンス・ウルトラマリン』|鳴神響一|角川文庫

脳科学捜査官 真田夏希 インテンス・ウルトラマリン現在、読書の大部分の時間を時代小説か歴史小説にあてていますが、時折、気分転換に現代ものが読みたくなることがあります。

そんなときによく読ませていただいているのが、鳴神響一(なるかみきょういち)さんの文庫書き下ろし警察小説です。
『脳科学捜査官 真田夏希 インテンス・ウルトラマリン』(角川文庫)は、「真田夏希」シリーズの第19作。お気に入りのシリーズの一つです。

2014年に、時代小説の『私が愛したサムライの娘』で第6回角川春樹小説賞を受賞してデビューし、『鬼船の城塞』や『エスパーニャ―のサムライ 天の女王』など時代ものの秀作があって、勝手にお気に入りにしています。

警察庁サイバー特別捜査隊の真田夏希は、神奈川県警の刑事・小堀沙羅と休暇を取り、神戸までのショートクルーズに出発した。楽しい船旅に気分を躍らせたのも束の間、沙羅のスマホに強盗致傷事件の知らせが入る。さらに今後は、傷害事件の犯人を追って、江の島署の加藤刑事たちが船に乗り込んでいるというのだ。一体何が起きようとしているのか。加藤らと合流した夏希たちは、恐るべき事態に遭遇するが――。書き下ろし長篇警察小説。

(『脳科学捜査官 真田夏希 インテンス・ウルトラマリン』カバー裏紹介より)

真田夏希と小堀沙羅は休暇を使って、小型豪華クルーズ船《ラ・プランセス》で、横浜から神戸まで1泊のショートクルーズに参加していました。

二人は船内で背の高い四十前後の経営コンサルタントをしているという大沢に声を掛けられました。この船の一月のクルーズでセミナーを行う予定でその下見だと。そのため、この船のことをいろいろ調べていて詳しい大沢に、夏希は昼食の後に、この船のことを教えてほしいとお願いしました。

出航から30分近く経ったその時、沙羅のスマホに着信があり、横浜市内で強盗致傷事件が発生したという連絡がありました。

被害に遭ったのは中区の銃砲店の店主で六十七歳の男性。頭部を殴られて、狩猟用の散弾銃の実包三箱が強奪され、被害者は意識もあり、命に別状はないとのこと。

船は出航したばかりで、第一寄港地の神戸港には明日の夕方になる予定です。
沙羅は神戸に着いたらすぐに戻って捜査に参加しなければなりませんが、今は海の上でどうすることもできないので、「事件のことはきっぱり忘れよう」と夏希は沙羅に提案しました。

「その話じゃあない。実はな、いま江の島署の加藤清文巡査部長から電話が入ってな。俺は今夜、加藤と飲む予定になっていたんだ。ところが、断ってきた。あいつは相方の北原兼人巡査と一緒に《ラ・プランセス》に乗船したそうだ」
 佐竹管理官は予想外の言葉を淡々と口にした。
「え、え……加藤さんが? いったいどういことなんですか?」
 石田はわけがわからなかった。
 
(『脳科学捜査官 真田夏希 インテンス・ウルトラマリン』P.37より)

沙羅と組んで捜査にあたることが多い石田は加賀町署に設けられた強盗致傷事件の捜査本部で、捜査の実質的なリーダーである佐竹管理官から、加藤巡査部長も豪華クルーズに乗り込んだ経緯を聞きました。

藤沢市片瀬海岸で起きた傷害事件の被疑者と考えられる男を追って、同僚の北原巡査と《ラ・プランセス》に乗船して捜査を続けていると。

この後、偶然から夏希ら四人の警察官を載せて横浜港を出た豪華小型クルーズ船で、思いもよらない事態が起こります。
助けを外に求められない船内で、夏希と沙羅に絶体絶命の危機が訪れます。

さて、今回は夏希に加えて、神奈川県警本部捜査一課強行七係の巡査長小堀沙羅が大きな役割を演じます。
フランス人を母にもつ沙羅は、長身の美人で、今回の旅行も県警総務部広報県民課からの依頼で、「警察官であっても休暇はちゃんと取れて楽しめますよ」というアピールの広報活動の一環として、モデル役をつとめていました。

先が読めないドラマチックなストーリー展開と、船内という閉じられた空間でのスリリングな捜査劇に、思わず手に汗を握ってしまいました。

コンサルタントの大沢のほか、《ラ・プランセス》の船長の若林に、チーフパーサーの曽根とパーサーの八代、サービススタッフの手島という乗組員に、ランチタイムライブで素敵な音楽を披露するジャズシンガーの牧村と、多彩な人物が物語に彩りを添えます。

毎回、タイトルに色の名前が付いていますが、今回の「ウルトラマリン」は日本では「群青色」や「瑠璃」と呼ばれ、画家のフェルメールが多用したフェルメール・ブルーとも呼ばれています。

脳科学捜査官 真田夏希 インテンス・ウルトラマリン

鳴神響一
KADOKAWA 角川文庫
2024年1月25日初版発行

カバー写真・デザイン:舘山一大

●目次
第一章 出航
第二章 暗転
第三章 連携
第四章 確信

本文273ページ

文庫書き下ろし

■今回取り上げた本




鳴神響一|作品ガイド
鳴神響一|なるかみきょういち|時代小説・作家 1962年、東京都生まれ。中央大学法学部卒。 2014年、『私が愛したサムライの娘』で第6回角川春樹小説賞を受賞してデビュー。 2015年、同作品で第3回野村胡堂文学賞を受賞。 ■時代小説SHO...