小藩、高岡藩を舞台に、若き藩主が活躍するシリーズ第2弾

塩の道 おれは一万石(2)千野隆司(ちのたかし)さんの『塩の道 おれは一万石(2)』が双葉文庫より刊行されました。

下総高岡藩一万石を舞台に、新しく藩主となった井上正紀の活躍を描く、文庫書き下ろし時代小説シリーズの第2弾です。

1作目の『おれは一万石』では、美濃今尾藩三万石竹腰勝起の次男、正紀が、高岡藩に婿として養子に入るところシーンが描かれています。

大名家といえども、一俵でも禄高が減れば旗本に格下げになる、ぎりぎり一万石の小藩です。領地は利根川沿いにあり、陣屋は現在の千葉県成田市高岡にありました。
[map addr=”高岡藩陣屋跡”]

武腰正紀は、高岡藩江戸上屋敷を訪ねたおり、堤普請を嘆願する名主の息子と出会い、二千本の杭を調達する約束をしてしまい、婿入り前から高岡藩のために奔走することになります。

小藩ならではの苦労が随所に描かれていて、物語を面白くしています。
正紀の父、勝起も、高岡藩の当代藩主の正国も、ともに尾張徳川家八代徳川宗勝の息子であり、勝起の武腰家は尾張徳川家の付家老を務めています。いずれにしても、高岡藩と尾張藩は縁があることがあります。

一方の高岡藩井上家の本家は、浜松藩井上家となり、常陸下妻藩井上家も分家になります。そうした家と家とのつながりと争いも物語の一つのテーマとなっています。

さて、本書はシリーズ第2作め。

凶作のため高岡藩の米収穫高も例年の七割しかなく、藩財政がさらに困窮することが予想された。
年貢を増やしてこの危機を乗り切ろうと図る江戸家老に反対した正紀は、正式に井上家に婿入りし、世継ぎとなったにもかかわらず、自ら新たな財源を探しに奔走する。
ところが、そんな正紀の行動を面白く思わぬ者もいた……。

藩財政が破綻の危機を迎え、領民のため、藩士のため、若き藩主、井上(竹腰)正紀が新たな財源を求めて奔走する、その活躍ぶりが読みどころです。

高岡藩が登場する作品には、鳴神響一さんの『私が愛したサムライの娘』があります。
ヒロインの女忍び・雪野が高岡藩の陣屋に潜入するシーンが冒頭に描かれています。
下総高岡藩の存在を知り興味を持ち始めたのもこの作品からでした。

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『おれは一万石』(千野隆司・双葉文庫)
『塩の道 おれは一万石(2)』(千野隆司・双葉文庫)
『私が愛したサムライの娘』(鳴神響一・角川春樹事務所・時代小説文庫)

高岡藩|ウィキペディア