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老いたる山の民は、亡き妻との約束の地へ向かう、「嶽神」シリーズ最新刊

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嶽神列伝 逆渡り長谷川卓(はせがわたく)さんの傑作戦国伝奇小説「嶽神」シリーズの、『嶽神列伝 逆渡り』が講談社文庫より文庫化されました。

「嶽神(がくじん)シリーズ」は、清貧にして義に厚く、たくましく戦乱の世を生き抜く山の民の活躍を描く人気シリーズです。

あの山桜の下で妻の墓を守りながら最期の時を迎えよう。構ってやれなかった償いとして。武田・上杉が熾烈な戦いを繰り広げる上信越。老いた山の民の月草(つきくさ)は殺戮の山野を独り渡り、妻との約束の地へ向かう。待ち受けるのは、思いがけない善意と信じがたい我欲。

時代は実父の武田信虎を国外に追い出した、武田晴信(のちの武田信玄)の生きた時代。本書の描かれている時代は、武田勢が佐久郡小田井原で上杉憲正軍と戦って勝利した、天文十六年(1547)です。

主人公の月草は、北斗七星を目印として、五、六年置きに山を渡ることから、四三衆(しそうしゅう)と名乗る山の民。薬草に詳しく、戦では傷病兵の傷の手当てと救出、戦場から死体の搬出の役割を担っていました。五十七歳になった月草は最後を戦働きを終えて、集落から離れて、死に向かって一人で渡る、《逆渡り》を始めます。

桜の季節に深く味わいたい作品です。文庫本には、「嶽神シリーズ」読書ガイドのパンフレットが挟み込まれていました。本書と、『嶽神』(上・下)、『嶽神伝 無坂』(上・下)、『嶽神伝 孤猿』(上・下)の関連性が簡潔にまとめられて、知識の整理に役立ちます。

■Amazon.co.jp
『嶽神列伝 逆渡り』
『嶽神(上) 白銀渡り』
『嶽神伝 無坂(上)』
『嶽神伝 孤猿(上)』