名力士雷電が登場する時代小説

アドセンス広告、アフィリエイトを利用しています。
スポンサーリンク

風野真知雄さんの『両国大相撲殺人事件』を読んだ。江戸時代の奇談をまとめた『耳袋』の著者として知られる江戸南町奉行・根岸肥前守鎮衛が活躍する人気シリーズの第6弾である。今回はタイトルどおりに、有望な若手力士の伊佐二が殺されるところから物語は始まる。

耳袋秘帖 両国大相撲殺人事件 (だいわ文庫)

耳袋秘帖 両国大相撲殺人事件 (だいわ文庫)

殺しの手口は、鉄砲、かんぬき、張り手という、江戸相撲最強といわれる雷電の得意技だ。雷の模様の着物を着た大男の影。「てめえ、雷電!」の言葉を残して、伊佐二は意識を途切れさせた。当初、雷電に嫌疑がかかるが、下手人は三人の浪人だった。なぜ、三人は雷電を下手人に仕立て上げようとしたのか? 江戸に起きる怪事件の謎を赤鬼奉行、根岸肥前が次々と解き明かす捕物帳。

今回の見どころは、やはり根岸肥前と同時代の名力士雷電の登場。強すぎるがゆえの、雷電の悩み、妬み、孤独が垣間見られて奥行きが感じられる作品になっている。雷電を描いた時代小説というと、飯嶋和一さんの傑作『雷電本紀』が思い出される。

雷電本紀 (小学館文庫)

雷電本紀 (小学館文庫)

おすすめ度:★★★★