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江戸のおいしい食べ物が出てくる時代小説

宇江佐真理さんの『卵のふわふわ』を読む。「八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」とサブタイトルが付いていて、各章には「秘伝 黄身返し卵」「美艶 淡雪豆腐」「酔余 水雑炊」「涼味 心太」「安堵 卵のふわふわ」「珍味 ちょろぎ」と食べ物の名前が並び、なんとも興味深い時代小説である。

主人公は、北町奉行所隠密廻り同心椙田正一郎の妻ののぶ。のぶは娘時代にあこがれていた正一郎と祝言をあげて六年、二度身ごもったが二度とも流れた。正一郎は手ひどい失恋をした末にのぶを妻に娶るが、裏切られるのではという危惧からか、のぶに対して心を許さず、笑顔を見せずに、常に厳しい表情をしていた。

のぶの救いは、舅で北町奉行所の臨時廻り同心の忠右衛門と姑のふで、そして店子(屋敷内に住まいを借りている)の幇間、桜川今助らが温かく見守ってくれていること。とくに忠右衛門は食いしん坊で食通の上に、奉行所では伝説的な同心で、エピソードに事欠かない人物。物語はのぶと忠右衛門を中心に回っていく。

奉行所同心の家が舞台になっているので、家族のドラマであると同時に、殺人や誘拐などさまざまな事件が描かれていき、捕物小説としても楽しめる。

コメント

  1. 絶間 より:

    あぁ、やっと「卵のふわふわ」が登場ですね。これほど食べ物をうまく扱った時代小説はないかもしれないと私は思っています。

  2. jidai-show より:

    最近、読書のペースとブログのペースが超低速ですみません。宇江佐真理さんの『桜花を見た』も近日中にアップしたいと思います。