時代考証もしっかりした、ファンタジー捕物帖

畠中恵さんの『ねこのばば』を読んだ。畠中さんは、都筑道夫さんの影響を受けた作家の一人である。そのせいか、都筑さんの捕物シリーズ『なめくじ長屋捕物さわぎ』シリーズに通じる共通点が見られる。

ねこのばば しゃばけシリーズ3 (新潮文庫)

ねこのばば しゃばけシリーズ3 (新潮文庫)

1)奇抜なシチュエーションとトリック(「論理のアクロバット」と呼んでいたいたと思う)

2)論理的に謎解きをする安楽椅子探偵と、事件解決のための材料集めをする魅力的な脇役

3)気軽に読める語り口とユーモア感覚

4)さりげない時代考証の確かさ

「しゃばけ」シリーズというと、妖怪が出てくるファンタジー捕物帖なので、時代考証は?と思われている方もいるかもしれない。しかし、文庫版の解説を担当された末國善己さんが指摘されたとおり、江戸時代の流行や文物を巧みに取り入れている。この解説文も秀逸である。

「たまやたまや」のお話では、献残屋の若者が登場する。献残屋とは、献進物、贈答品の残余を武家から集めて、ほかに転売する商売のこと。熨斗鮑や昆布、干魚、胡桃、葛粉などの日持ちがする食べ物や飾り付きの太刀や献上品を入れる道具箱などを扱っている。将軍のお膝元の江戸では、武家間の贈答儀礼が多く、それゆえに成り立つ商売である。

この仕組みに題材を取り、捕物話に仕上げている。ちなみに、「たまやたまや」はしゃぼん玉売りの物売りの声である。こんなところからも江戸情緒が味わえるのが、このシリーズの魅力である。

コメント

  1. なつの より:

    すっかりこのシリーズに ハマってます^^若旦那のバックボーンは、このシリーズを引き立ててますよね。