「時代小説のヒーローたち展」を見て

フミさんからのメールで初めて、この催しを知った。その後に、京王線沿線の駅貼ポスターで内容を確認したが、いささかPRが足りない。せっかくの素晴らしいイベントなのに少し残念だ。

10月18日。初日に見に行く。京王線芦花公園駅(出口は新宿よりに1つあるだけ)で降り、世田谷文学館を目指す。駅を出たところにも掲示板があり場所はわかりやすい。近くに伊勢丹のクィーンズシェフがあり、けっこう閑静な場所に世田谷文学館はあった。

受付で、プログラムを購入する。このプログラムは凄い。ほとんどの展示物をカラー写真で収めてあるので、見に行けない人でも十分展示内容が理解できるつくり(いわゆる図録)になっている。

A5判で190ページもある豪華版で、執筆者も尾崎秀樹さんや縄田一男さん、清原康正さんなど、時代小説の解説でおなじみの人たちが名前を連ねている。また、宮部みゆき、池宮彰一郎、常盤新平、泡坂妻夫の各氏がコラムを書かれている。一部1000円だが2000円分ぐらいの価値はある。

展示はうれしいやら、ため息が出るやら本当に至福のひとときが過ごせた。

期待していた秋山駿さんの講演が講師の都合により、桶谷秀昭さん(純文学が得意の文芸評論家らしい)に替わってしまったのが残念だった。ピンチヒッターとして頑張っておられたが…。

世田谷文学館は、その他にも、時間がなくて見れなかったが、資料閲覧室や常設展示などもあり、いろいろ楽しめるスペースだった。これからもお世話になります。(1997/10/18)

ジプシーキングスの「インスピレイション」が流れる中、「鬼平・梅安・剣客商売―プロデューサーが語る池波作品映像化の舞台裏」は始まった。

昨日に引き続き、世田谷文学館へ行った。今日の目玉は、TV「鬼平犯科帳」の企画でおなじみの市川久夫さんの登場だ。来月で83歳を迎えるということだが、生き生きと池波作品の映像化について語ってくれた。

また、聞き手に、鬼平でコンビを組み、また「これが青春だ」や「太陽にほえろ!」などの監督として活躍された高瀬昌弘さんを起用。稲垣浩監督のお弟子さんということだが、誠実な語り口でとっておきの話を紹介してくれた。

とくに鬼平を演じた4人の役者たち、松本幸四郎(先代)さん、丹波哲郎さん、萬屋錦之介さん、中村吉右衛門さんの撮影中のエピソードは、興味深かった。両氏とも吉右衛門さんの鬼平を白眉とし、吉右衛門さんの「最近、ようやく鬼平がわかってきた」ということで、第1話から取り直したいという企画があるそうだ。市川さんによると、2~3年のうちに、新撮するそうだ。

また、興味深いところでは、いよいよ「剣客商売」のTV化だが、98年1月頃より藤田まことさん主演(他のキャスティングは未定)でクランクインに入るそうだ。キャスティングも含めて楽しみ。(^o^)
(1997/10/19)

安部龍太郎さんと縄田一男さんの対談を見る。両氏とも写真通りでびっくり。縄田さんと一つのベッドで寝て布団を取り合ったという安部さんの夢の話が可笑しかった。

津本陽さんの新作の新しい竜馬像や『帰ってきた木枯し紋次郎』、『大菩薩峠』や隆慶一郎さんについて、など興味深い話が次々に展開して、取り上げられた作品がものすごく読みたくなってしまった。

没後のブームの中で非国民扱いされかねない、と言いながら二人が話された、司馬遼太郎さんの後半の文明批評家活動に対する違和感や時代・歴史小説からの乖離に対する不満が、同じ時代小説ファンとして共感できる。ずっと刺のように引っかかっていたことを代弁してもらえた。

安部さんは、作風や容貌からは想像できないが、軽快で「いいひと。」でした。また、縄田さんも外見は、大学の相撲部のOBのよう(あー、本当に怒られるかも)だが、その実、七色の声をもつエンターテイナーで、萬屋錦之介さんの物まねが絶品だった。(1997/11/9)

「藤沢周平―人間の哀歓を描いた作家」( 向井敏)を聞きに行く。とにかく中高年の人が多かった。何回かイベントに参加したが集客はいちばんだ。さすが藤沢さんといったところか。

向井さんの声が低いせいか、食後のせいか、不覚にも講演中寝てしまう。印象に残った話が山本周五郎さんの作品は説教臭いとか、吉川英治さんの『鳴門秘帖』の文体はいただけないとかいうところだけだった。我ながら情けない。(^^;;
(1997/11/24)

「時代小説のヒーローたち展」は、終わってしまいましたが、全体を通してとても素晴らしい催しものでした。展示では、ヨダレを流さんばかりにショーケースにかじりつくような貴重な品を見せていただき、うれしかったです。また、イベントの方も豪華ゲストが登場して、しかも無料(いまどきありがたい、ヨッ、太っ腹!)で。尾崎秀樹さんや常盤新平さんの講演も聞きたかった…。来年もぜひやってください。
(1997/12/1)

時代小説のヒーローたち展時代小説のヒーローたち展
1997年10月18日[土]―11月30日[日]
場所:世田谷文学館(京王線芦花公園駅、南口から徒歩5分)

時代小説の誕生から、今なお親しまれ、幅広い読者層に読み継がれている時代小説のヒーロー像を、直筆原稿、初版本、挿絵、映画ポスターなど資料約300点で多角的に紹介しています。

●展示
第一部:ヒーローの誕生
講談から大衆文芸へ/ヒーロー登場/書斎再現―『現代大衆文学全集』と白井喬二
第二部:ヒーロー列伝
戦乱のヒーロー/剣のヒーロー/幕末・維新のヒーロー/仇討・騒動のヒーロー/市井・股旅・白浪のヒーロー/ニヒルなヒーロー/明朗型ヒーロー/捕物帳のヒーロー
第三部:戦後時代小説のヒーロー
 
●関連イベント

会場=世田谷文学館 文学サロン
開場=開演30分前
定員=150名(先着順)
入場無料
■記念講演・対談
10月18日(土)14:00~
「時代小説の魅力」
桶谷秀昭(文芸評論家)×佐伯彰一(世田谷文学館館長)

■ビデオ上映と対談
10月19日(日)14:00~
「鬼平・梅安・剣客商売―プロデューサーが語る池波作品映像化の舞台裏」
市川久夫(プロデューサー) 聞き手:高瀬昌弘(映画監督)

■紙芝居
10月25日(土)14:00~、16:00~
街頭紙芝居「丹下左膳」

■講談
11月23日(日)14:00~
「徳川家康」宝井琴桜(講談師)

■秋の文学サロン―文学のつどい 統一テーマ<時代小説に酔う>
11月1日(土)14:00~
「司馬遼太郎―日本と日本人への遺言」尾崎秀樹
11月2日(日)14:00~
「池波正太郎―男の美学を描いた作家」常盤新平
11月9日(日)14:00~
「本当に面白い時代小説はどれだ」安部龍太郎×縄田一男
11月24日(月・祝)14:00~
「藤沢周平―人間の哀歓を描いた作家」向井敏

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