SAMURAI FICTIONのこと

SF SAMURAI FICTION8月25日に、JR有楽町駅前のシネ・ラ・セットで、映画「SF SAMURAI FICTION」を観た。布袋寅泰さんが侍を演じる時代劇映画ということで、映画嫌いだったのだが、3年ぶりくらいで映画館に足を運んだ。シネ・ラ・セットは、キャパシティが小さいせいで、整理券を配って、番号順に入場させるシステムを取っていて、小劇場っぽくて新鮮だった。それにしても若い人が多い。

監督の中野裕之さんのことはよく知らなかったが、この作品が第1回劇場映画で、MTV界のクロサワといわれているらしく、今井美樹さんやMr.Childrenのミュージック・ビデオの監督として圧倒的な支持を集めている人。布袋寅泰さんのミュージック・ビデオクリップ「スリル」もそうなのだ。

パンフレットによると、SFは、Samurai Finctionのことであり、山本周五郎さんの世界のような映画を作りたい、といって製作されたもの。池波さんや藤沢さんの一世代前を再評価する動きはうれしい。

キャストがなんとも豪華だ。主演の風間杜夫さんは、昔、「暴れ九庵」(フジテレビ系)、「銭形平次」(日本テレビ系)などの時代劇に主演したこともあるが、つかこうへいさんの芝居のイメージが強いせいか、ずっと時代劇向きではないと思っていた。饒舌で、運動神経が鈍そうなのだ。最近は、情けないような役が多くて心配していたが、今回ははまり役である。

内藤武敏さん=見るからに家老タイプ、緒川たまきさん=今、もっとも時代劇が似合う女優さん、谷啓さん=儲け役、夏木マリさん=毒婦役がピッタリなど、キャスティングがうまい。吹越満さん(昔、ロボコップ芸をやっていた)は、WAHAHA本舗のイメージからシリアスな芝居に懸念をもっていたが、無事主役を務めている。

この映画の最大の魅力は、やはり布袋寅泰さんの存在だ。音楽を担当するほか、出演シーンも多く、プロの役者さんにない新鮮味と面白さを醸し出している。彼の出るシーンでは高倉健さん的なオーラがあるのだ。総髪にし、鋭い眼と長身が何ともいえずいい。夏木マリさんや神戸浩さんとの絡みもうまい。藤井兄弟(フミヤと尚之)や中島らもさんも出演している。

全編シャープなモノクロながら、平四郎が幼馴染の黒沢や鈴木と走る、海岸のシーンなどなんとも言えず美しい。3分間のシーンにこだわり続けてきた映像作家らしく、無駄なカットがなく、どのシーンも考えて作られているのがうれしい。次回作も期待したい。

STORY
1696年、長島藩で一大事が起こった。剣の強さに殿様が惚れ込んで、新しく刀番として雇った風祭蘭之介が、近習を殺し、将軍家から拝領した宝刀を奪って出奔したのだ。
江戸での剣術の修業を終えて、国へ帰ったばかりの家老の息子犬飼平四郎は、義憤にかられて、幼馴染の黒沢や鈴木とともに、風祭の行方を追う…。

CAST
溝口半兵衛(風間杜夫):中年の浪人
風祭蘭之介(布袋寅泰):長島藩刀番
犬飼勘膳(内藤武敏):長島藩家老
犬飼平四郎(吹越満):勘膳の息子
溝口小春(緒川たまき):半兵衛の娘
影丸(谷啓):犬飼勘膳配下の忍び
鈴木真太郎(藤井尚之):平四郎の幼馴染
黒沢忠介(大沢健):平四郎の幼馴染
お勝(夏木マリ):ばくち打ちの女親分
吾助(神戸浩):お勝の子分
九頭見龍之介(藤井フミヤ):?(観てのお楽しみ)

(1998/08/26)

コメント