「時代小説★2025年7月の新刊情報(単行本)」を公開

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『龍と謙信』|武川佑|KADOKAWA

龍と謙信2025年7月1日から7月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2025年7月の新刊(単行本)」を公開しました。

今月の注目作は、第27回大藪春彦賞を受賞した武川佑(たけかわ・ゆう)さんによる、受賞後第1作となる歴史長編小説です。
上杉謙信と、その妻・於龍(おたつ)との奇妙なパートナーシップを描いた注目作です。

著者について
武川佑さんは、2016年に「鬼惑い」で第1回決戦!小説大賞奨励賞を受賞し、2017年には書き下ろし長編『虎の牙』でデビュー。同作で第7回歴史時代作家クラブ賞の新人賞を受賞されました。
2021年には『千里をゆけ くじ引き将軍と隻腕女』(文庫化時に『悪将軍暗殺』へ改題)で第10回日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞。
そして2025年には、戦国時代を舞台にアイヌと和人の和睦を描いた『円かなる大地』で大藪春彦賞を受賞されています。いま注目を集める歴史作家のひとりです。

あらすじ

父から越後守護代の座を奪った長尾景虎(後の上杉謙信)に復讐するため、母によって“女”を捨てるよう命じられた於龍。彼女は景虎を激しく憎みますが、景虎はどこ吹く風で、於龍のことを「面白(おもしょ)い奴」と気に入ってしまいます。
長尾家の重臣たちは、二人の婚姻を越後支配の手段と見なし、政略に利用しようとします。一方、甲斐の武田晴信(後の信玄)は、隣国侵攻の調略を始めようとしていました。
史料を丹念に読み解き、最新研究を踏まえながら、「生涯独身」とされてきた上杉謙信と、その妻とされる女性の半生を描いた力作です。

(『龍と謙信』Amazon内容紹介より抜粋・編集)

ここに注目!

私事で恐縮ですが、長尾景虎(上杉謙信)には個人的な思い入れがあります。彼が多感な少年時代を過ごした新潟県・中越地方――冬は雪に閉ざされ、春には草木が芽吹き、夏は緑濃く、秋には稲穂が黄金に染まる……。そうした風景の中を駆け巡った若き日の景虎を想像すると、どこか懐かしさを感じます。

本書は、景虎とその妻・於龍の物語です。景虎には妻はいなかったはず、と違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに「生涯独身」「不犯を貫いた」というのは江戸時代の資料によるものですが、逆に「新造(妻)」がいたという史料も存在するそうです。真相は定かではありません。

於龍は、景虎の兄・長尾晴景と、越後守護・上杉定実の娘との間に生まれた長女です。景虎が晴景から守護代の座を奪ったとき、母から男として生きるよう命じられました。

それから五年後、十四歳となった於龍と、二十四歳の景虎は再会します。
景虎を深く憎む於龍と、彼女を「面白い奴」と評して気に入る景虎。やがて二人は夫婦となります。

カバー帯には、「上杉謙信と、その妻・於龍『奇妙(クィア)』なふたり……」という言葉が添えられています。
読み進めるうちに、二人の関係が織りなす静かな絆と謎に心を引き込まれていきます。

於龍は、どのような女性だったのでしょうか?
そして、なぜ歴史の表舞台から姿を消したのでしょうか?
本書は、その答えを静かに探る物語でもあります。

時代小説★2025年7月の新刊情報(単行本)
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今回取り上げた本


武川佑|時代小説ガイド
武川佑|たけかわゆう|時代小説・作家1981年神奈川県生まれ。立教大学文学研究科博士課程前期課程(ドイツ文学専攻)修了。書店員、専門紙記者を経て、2016年、「鬼惑い」で第1回「決戦!小説大賞」奨励賞を受賞。2017年、『虎の牙』でデビュー...