『へぼ侍』|坂上泉|文春文庫
2021年6月1日から6月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2021年6月上旬の新刊(文庫)」を掲載しました。
今回は、坂上泉さんの長篇小説、『へぼ侍』(文春文庫)を取り上げてみました。
著者は、2019年、本作品『へぼ侍』(「明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記」を改題)で第26回松本清張賞を受賞し、 2020年、第9回日本歴史時代作家協会賞(新人賞)を受賞しています。
その後、戦後大阪に数年間だけ実在した「大阪市警視庁」を描いた、第2作『インビジブル』で、第164回直木賞(2020年下半期)の候補作としてノミネートされ、第23回大藪春彦賞、第74回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞しました。
大阪で与力の跡取りとして生まれながら、家が明治維新で没落したため幼いころより商家に丁稚奉公に出された錬一郎。
それでも士族の誇りを失わず、棒きれを使って剣術の真似事などをして周囲の人間から「へぼ侍」と揶揄される。
1877年、西南戦争が勃発すると官軍は元士族を「壮兵」として徴募、武功をたてれば仕官の道も開けると考えた錬一郎は意気込んで参加する。
しかし、彼を待っていたのは、料理の達人、元銀行員、博打好きの荒くれなど、賊軍出身者や異色の経歴の持ち主ばかりの落ちこぼれ部隊だった――。(『へぼ侍(単行本)』Amazonの内容紹介より)
西南戦争を舞台に、落ちこぼれ兵士たちの活躍を描く痛快歴史エンターテインメント。
新進気鋭作家の待望の文庫化作品、大いに楽しみにしています。
文庫●2021年6月上旬の新刊
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『へぼ侍』(坂上泉・文春文庫)
『インビジブル』(坂上泉・文藝春秋)
坂上泉|時代小説ガイド
坂上泉|さかがみいずみ|時代小説・作家1990年、兵庫県生まれ。東京大学文学部日本史学研究室で近代史を専攻。2019年、「明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記」(単行本化に際して『へぼ侍』に改題)で第26回松本清張賞を受賞。2020年、『へ...