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話したくなる、江戸の武士と町人が楽しんだ飯・酒・女

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大江戸の飯と酒と女歴史家の安藤優一郎さんの江戸時代をテーマにした読み物、『大江戸の飯と酒と女』(朝日新書)を入手しました。

本書のプロローグにによると、江戸時代の食というと、米食のイメージが強いですが、江戸をはじめとした都市では野菜・果物や魚・獣肉などバラエティーに富んだ食生活を送っていたそうです。

そう聞くと、がぜん江戸の食への関心が高まってきます。
寿司、蕎麦、天ぷらが江戸で普及し値段も安かったことは知られていますが、安く食べられた理由まではあまり語られていません。

本書では江戸の食生活について、知っているようで実はあまり知られていない事実を紹介し、江戸でバラエティーに富む飲食生活を享受できた様々な要因を解き明かしていきます。

名物料理に舌鼓を打ち、ほろ酔い気分で遊郭へ。人目を忍ぶ二人が向かう先は出会い茶屋。百万都市、“百花繚乱”の舞台裏は?
大江戸の武士・町人たちは、飲食文化を大いに楽しんだ。その背景には、「なるほど!」と納得する「理由」があった――。「知っているようで知らない」あの時代の暮らしの秘密を、三つの切り口で明らかにする。
(新書カバー折り返しの紹介文より)

今から二百年ほど前の享和~文化期(1801~1818)、大食い・大酒飲み大会が江戸でブームになり、曲亭馬琴や大田南畝ら文化人も、観戦記を著書にまとめていました。

柳橋の高級料亭万屋で、参加者は酒組・菓子組・飯連・蕎麦組の四組に分かれて大食いぶりや酒豪ぶりを競ったと紹介されています。

 酒組では、酒を五~十升も飲んだ参加者の事例がいくつも紹介されている。
 三升入りの盃で六杯半も飲んだ後、その場で倒れて眠り込んだが、目を覚ますと今度は水を十七杯も飲んだ鯉屋利兵衛(齢三十)。五升入りの丼鉢で一杯半飲んで帰宅の途についたが、さすがに湯島聖堂の土手で倒れ、翌朝午前四時まで眠りこけた天堀屋七右衛門(齢七十三)の事例などである。
(『大江戸の飯と酒と女』プロローグ P.4より)

本書では、江戸の産業経済構造へ目を向けて、消費者目線だけでなく、生産者や販売業者の目線からもクローズアップしていきます。

また、食生活論から抜け落ちていた酒や、飲食を楽しむ男女の姿まで、江戸の武士や町人たちの知られざる食生活を紹介していきます。

最後の章では、江戸の会いに行けるアイドル、水茶屋の給仕をする美少女・笠森お仙についても触れられていて、興味深いです。

目次
プロローグ
第一章 飯 花開く食文化の舞台裏
1 お上り侍の食べ歩き
2 独身男のための外食産業と加工食品
3 ブランド野菜と諸国の果物
4 江戸っ子が食べた魚と獣肉
5 身近になった菓子
第二章 酒 幕府と居酒屋と料亭と
1 高価な下り酒と、地廻り酒、濁酒
2 盛り場の飲み食い
3 接待料理と酒
第三章 女 百花繚乱、色恋の秘密
1 幕府公認の遊郭・吉原の素顔
2 非公認の遊び場・岡場所の実態
3 出会い茶屋の裏と表
あとがき
参考文献

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『大江戸の飯と酒と女』(安藤優一郎・朝日新書)