最下級の農民“名子”から武士への出世を目指す男を描く

励み場青山文平さんの長篇時代小説、『励み場(はげみば)』(ハルキ文庫)を入手しました。

本書は、『つまをめとらば』で第154回直木賞(平成27年/2015年下期)を受賞した著者の、受賞後第1作の文庫版です。

“名子(なご)”と呼ばれる、一般の農民よりも身分的に低く、地主に隷属していた最下級の農民出身の主人公・笹森信郎。陣屋の元締め手代の地位を棒に振って、江戸で勘定書の普請役に就きます。そこは、「励めば報われる」ことがある数少ない場所でした……。

智恵は、勘定所で普請役を務める夫・信郎と、下谷稲荷裏でつましくも幸せに暮らしていた。信郎は若くして石澤郡の山花陣屋元締め手代まで登りつめたが、真の武家になるため、三年前に夫婦で江戸に出てきたのだ。
そんなある日、三度目の離縁をし、十行半の女になった姉の多喜が江戸上りしてきた。一方、その頃、信郎は旗本の勘定から直々に命を受け、上本条村にひとり出向いていたが……。

歴史的事実を押さえながらも、端正で美しい物語を紡ぐ、青山さんの時代小説を週末に愉しみたいと思います。

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『励み場』(青山文平・ハルキ文庫)
『つまをめとらば』(青山文平・文春文庫)