シェア型書店「ほんまる」で、「時代小説SHOW」かわら版を無料配布

『旗本花咲男』は宮本昌孝さんの原点

アドセンス広告、アフィリエイトを利用しています。
スポンサーリンク

『旗本花咲男』を読了。放屁術を剣術に置き換えれば、そのまま本格チャンバラものに変わるというユニークな設定。

主人公・茶乙女留主水之介という名前が嘘っぽく、前将軍吉宗、将軍家重、大岡忠光、田沼意次、から大口屋治兵衛、日本左衛門、奴の小万、鬼平の父親・長谷川平蔵宣雄まで登場するが、時代考証がハチャメチャなわけではない。奇想天外な物語展開であるが、押さえるところは押さえた、上質なエンターテインメント時代小説である。

作者の宮本昌孝さんが早川書房というミステリとSFが主体の出版社の『小説Hi』誌で発表した幻の作品でもある。上巻は、15年前に、『旗本花咲男① 旗本花咲男』のタイトルでハヤカワ文庫から刊行されたが、下巻は諸事情からみかんのままであったという。放屁という下手に扱うと下品な下ネタになりそうな題材を上品なロマンチックなファンタジー時代小説に仕上げた作者の資質の高さに新鮮な驚きをもった。

この作品を発掘し、世に出した、KKベストセラーズの担当者編集者の慧眼にも感謝したい。KKベストセラーズのベスト時代文庫といえば、えとう乱星さんの名作『かぶき奉行』『ほうけ奉行』を復刊してくれたところ。今後も注目したい。

コメント

  1. 鴨南蛮 より:

    この秋、「あばれ奉行」も復刊するらしいですよ。

  2. jidai-show より:

    鴨南蛮さん、情報ありがとうございます。『あばれ奉行』で、えとう乱星さんの伝奇時代小説にはまりました。
    http://www.jidai-show.net/jdrea710.html#abare