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1997年10月・神無月の巻
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日輪を狙う者
★★★★
![]() 装丁:多田和博 写真:世界文化フォト 時代:永禄六年、天正十年 舞台:岡崎、甲賀篠山、飯道山、鈴鹿峠、加太山中。 (中央公論社・1748円・96/8/7初版、96/9/25再版・315P) 購入日:97/10/17 読破日:97/10/31 |
ゲストブックのKazさんの書き込みに、高橋直樹(どうしても昔ファンだった日本ハムの元エースを思い出してしまう)が面白いって書いてあるので、読んでみた。 どちらかといえば戦国ものというと、歴史自体を描くことがテーマの中心になるために、少し苦手なのだが、これは面白く読めた。というのも、謎が多く、他書ではあっさりと記述されてしまうことが多い、家康の伊賀越えを扱っているからだ。あっ、こんなこと書くと、また歴史小説ファンから突っ込まれそうだ。(^^; 半村良さんの「江戸内入り」以来気になっている、初期の徳川(松平)軍団が描かれているのも興味深い。とくに有名な割に出番の少ない本多平八郎や酒井忠次、長沢松平(上野介康忠)らが登場するのがうれしいところ ●松平家康の旗本衆の一人松平金助は、三河一向一揆の際に非業の死を遂げる…。その孤児たちは、やがて成長し、亡父の敵家康の伊賀越えの前に立ちはだかる…。 目次■序章/第一章/第二章/第三章/第四章/終章 |
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上方武士道(ぜいろくぶしどう)
★★★☆☆☆
![]() 装画:古賀政男 時代:文久元(1861)年 舞台:大坂、京、東海道。 (春陽文庫・581円・97/5/20新装第5刷・402P) 購入日:97/9/7 読破日:97/10/27 |
後期の大家となった司馬さんからは想像もつかない不思議な時代小説。「梟の城」や「風神の門」と同系統の作品。年号などをはっきり明示していないのが、意外な感じがする。 主人公の“公家密偵使”高野少将に従う、商侍の百済ノ門兵衛(この渡辺綱の末裔である、ユニークなキャラクター設定が大阪出身の司馬さんらしくていい)と伊賀忍者の名張ノ青不動の三人の東海道珍道中がロードムーヴィーのようでたのしい。 宿場宿場で美女やら謎の男やら刺客やらが絡んでくるのも、お約束のようでまたいい。 ひらがなの使い方のせいなのか、上方ことばを多用しているせいか、なかなかリズムに乗って読むことができなかった。 ●時は幕末。大坂の売薬問屋小西屋に支度金一万両で身売り縁組みして、“禁裡はん”と呼ばれ広告塔となっていた、貧乏公家の次男坊のもとへ、粟田青蓮院ノ門跡尊融法親王よ書状が寄せられた…。法親王とともに天子に謁した右近衛少将高野則近は、“公家密偵使”として江戸へ下ることになる…。 目次■公卿の売られ/百済ノ門兵衛/淀の水車/内親王の恋/落ちた印篭/好色・十一面観音/六条河原の門兵衛/公家密偵使/波間の疫病神/竜法師の人怪/妖異の里/甲賀の谷/土山の夜雨/ゆすり公家/お悠と門兵衛/やみの中の女/素焼きの鈴/七里飛脚/少将逃亡/刺客屋敷/御国御前/色侍/やくざと武士/興津の女/殺人刀/海道やくざ/お坊主おどし/変なやつ/薩摩者/江戸へ |
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五右衛門新傳説
★★★☆☆☆
![]() カバーイラスト:村上 豊 カバーデザイン:池田雄一 時代:永禄八年、天正九年 舞台:大江山、平戸、備中高松、京・大和大路。 (徳間文庫・552円・97/9/15第1刷・343P) 購入日:97/9/23 読破日:97/10/25 |
97年10月18日の朝日新聞朝刊に、和巻耿介さんの訃報が載っていた。 14日午後8時1分、急性循環不全のため、東京都新宿区の病院で死去、71歳。作品には「天保漂流記」などがある。 本書は、訃報と関係なく、偶然新刊で出たものを購入したものだった。訃報後に、新刊が出ないのが残念だ。とはいえ、実は本書を読むまでは、和巻さんのことはまったく知らなかった。 解説によると、長谷川伸さんの「新鷹会」(池波正太郎さんや平岩弓枝さんらが所属していたことでおなじみの)のメンバーだったらしい。 鈴木輝一郎さんの五右衛門(「はぐれ五右衛門」)とは、また別の五右衛門像が面白かった。とくに双子という設定により、ストーリー展開に幅が大きく広がった感じがする。 ●将軍義輝の家臣進士晴信の子として生まれ、平戸に育った五王。その屈強さを見込まれ、人買い船の水主となった五王は、船倉に隠れていた麻耶から、生き別れた双子の兄・信平と恋仲であったことを知らされる…。 目次■鬼の子/海賊港/西海丸/沖巡り/海の狼/御陣女郎/密使/都入り/鬼哭峠/奪取/五右衛門五人衆/湖賊/乞食隊/経ヶ峰山塞/復讐一番首/天下城/茶々殿侍女/朱雀邸襲撃/御子お命申受候/釜煎り/解説 武蔵野次郎 |
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算学武芸帳
★★★★☆
![]() 装幀:菊地信義 カバー図版:「幽齋算約四編」(日本学士院所蔵) 時代:寛政九年(1797) 舞台:深川、伊賀・広瀬村、松代。 (朝日新聞社・1500円・97/10/1第1刷・224P) 購入日:97/10/18 読破日:97/10/20 |
最近、算学をテーマにした時代小説に、なぜか惹かれてしまう。理系でないので、読んでいても今いちというか、全然理解できていないくせにである。その内容も非常に高度で難解なのである。 この作品での算士同士の算学勝負は、武芸者同士の真剣での試合を思わせる、緊迫感があり大きな山場になっている。 主人公はもちろん、脇役まで魅力的に描かれている好編。不思議な爽快さのある青春小説。 第8回朝日新人文学賞受賞作品。 ●和算の秘奥義「鳳積術」を極めんと、貧乏旗本の三男坊で、算学に抜群の才をみせる臼井与三郎(早雪)は算学道を歩む…。 目次■第一章 秘伝書/第二章 鳳翔/第三章 道場破り/第四章 不惑/第五章 腕比べ/第六章 きくらげ |
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捕物帳もどき
★★★☆☆ [再読]
![]() カバー・目次・本文イラスト:和田誠 解説:田口実 時代:幕末 舞台:吉原、入谷。 (文春文庫・369円・84/10/25第1刷、91/7/5第2刷・253P) 購入日:97/9/22 読破日:97/10/19 |
15年ぶりぐらいに再読した。ストーリーをほとんど忘れていた。当時は、時代小説を全然読んだことがない状態で、よく読んだわけだが、それなりに楽しめた記憶がある。「名探偵もどき」に続くもどきシリーズの第2弾だ。この後に、「チャンバラもどき」があるそうだが、そちらは読んでいない。チャンスがあればぜひ読みたい。 都筑さんというと、職人かたぎの推理小説家だが、本作品でもその技をいかんなく発揮している。「半七捕物帳」のパロディのような語り口(明治時代、書生さんが引退した幇間から聞き書きするという)で、各編とも綴られている。江戸五大捕物帳といわれる、半七・平次・右門・佐七・若様に、作者がお気に入りの顎十郎を加えてそれぞれの探偵役の特徴をうまく捉えている。 探偵役が遊女屋の若旦那ということから、事件はすべて吉原がらみである。その中で、「半七もどき」では、「半七捕物帳」の吉原を舞台にした「春の雪解」の裏返しのような話になっており、本当に上手い。 ●吉原の遊女屋唐琴屋の若旦那・丹次郎は、変な病気をもっていた…。古今の捕物名人になりきってしまうのである。そのため、お目付役の幇間・梅廼家卒八が子分として、あちこちから事件を見つくろってくるのだった…。 目次■平次もどき|右門もどき|佐七もどき|若様もどき|顎十郎もどき|半七もどき|解説 田口実 |
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殺生方控 あばれ奉行
★★★★☆☆
![]() 装幀:安彦勝博 時代:享保元年 舞台:吉原、三鷹、四谷。 (実業之日本社・1600円・97/2/25第1刷・307P) 購入日:97/5/12 読破日:97/10/18 |
ゲストブックの吉澤尚剛さんのおすすめで読みました。ありがとうござます。といっても、半年以上も前に教えていただいた訳ですが…。(^^; 本当にそんな役職があったのかどうかは不明だが、殺生方というユニークな役目を使った作者の着眼の良さが、作品をたまらなく魅力的にしている。 主人公の源次郎が、無外流・辻月丹の弟子であるほか、尾張柳生の柳生兵庫が登場したり、伊賀忍者や庭番・藪田定八(聞き覚えある名前だ。もしかして、南原幹雄さんの作品に出ていたのでは?)が絡んだりと、格闘シーンも随所にあり楽しい。 各章のタイトルは、「ちょきる」(=猪牙舟を使って吉原へ行くこと)/「ねりぎ」(=潤滑クリーム)/かぶせる(=騙しにかける)/「かほうやけ」(=よいことばかりあると却って災いを招くこと)/「あなしり」(=あらゆる物事の裏や急所や欠陥などに精通していること)/「やつし」(=勘当のために下賎の姿に身をやつしていること)/「べらぼうらしい」(ばかばかしい)と、あまり耳慣れない言葉を使っている。 えとうさんの他の作品もぜひ、読んでみたい。 ●三代・家光の治世、狩りの全般を取り仕切り、将軍の狩りをつつがなく遂行する役目として殺生方があった。五代・綱吉の治世下では狩りは行われず、殺生方は、生類憐みの令を破る者を取締まる役として、その存続を許されてきた…。そして、時代は享保。殺生奉行の筒井隼人と同役織部忠行は、将軍吉宗に呼び出され、旧来通り狩りの全権を委ねられた…。一方、筒井の庶子源次郎は父に反発して、わやく者(=不良、乱暴者)≠ヤりを発揮し、吉原通いを続けていた…。 目次■ちょきる/ねりぎ/かぶせる/かほうやけ/あなしり/やつし/べらぼうらしい |
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禁裏御付武士事件簿 《朝霧の賊》
★★★☆☆ [再読]
![]() カバーイラスト:中環 カバーデザイン:池田雄一 時代:元禄十六年 舞台:京。 (徳間文庫・514円・97/10/15第1刷・283P) 購入日:97/10/11 読破日:97/10/15 |
前作の《神無月の女》を読んだとき、デジャブーのように感じたのは、先にこの巻を単行本のときに読んでいたせいだった。うん、すっきりした。「事件簿」というタイトルが表すように、前作から続く連作形式だ。 奈良の生薬売りに変装し、<市歩>と称して京の町の情報収集と探索にあたるのが、主人公の久隅平八。その平八がいろいろな事件と出合う。禁裏内の事件ばかりでなく、市井の出来事にも関わっていくのが面白い。とくに「かどわかし」と「おばばの銭」が秀逸だ。 また、サイドストーリーとして、幕府が朝廷を監視するために派遣した禁裏御付武士である平八の同僚の長棟斎宮助と、彼の妹かや(なぜか禁裏付の家族の女には植物の名前がつけられていた)の結婚への過程が全編を通して描かれていて時の流れを感じさせる。 巻末に著作リストがついているのがありがたい。欲をいえば、絶版のものは明記してほしかったが…。 ●「春の扇」〔市隠〕の若狭屋の店先で、虚無僧が秘曲の<花篝>を奏でた。それは、隠密の連絡用の曲だった…。「朝霧の賊」三年前に亭主に出て行かれた女が、朝霧の中で白川のほとりで、背中を切られた男を助けた…。「かどわかし」左官の手伝いの男が、普請場の近くの富商の幼女誘拐を計画した…。「おばばの銭」表具職人の弟が、兄の預かっている狩野探幽の名画を質に入れてしまった…。「危ない橋」金物問屋の<弔酒>をめぐって事件が起こる…。「天鼓の狐」平八は隠士大森捜雲の死にともない、後任が決まるまで、多羅尾で御付同心の息子たちの武芸の面倒をみることになった…。「雪の碑」平八は<市歩>の途中、名椿を手折ろうとしてその屋敷の男たちに捕らえられる…。 目次■春の扇|朝霧の賊|かどわかし|おばばの銭|危ない橋|天鼓の狐|雪の碑|解説 縄田一男|著書リスト |
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元禄町人武士
★★★★☆
![]() 装丁:安彦勝博 装画:鴇田幹 時代:正徳三年 舞台:深川入船町、浅草新町、本郷組屋敷ほか。 (光文社・1800円・97/8/30第1刷・331P) 購入日:97/9/8 読破日:97/10/12 |
表紙の装画が、鴇田さんで、また、賎民の頭領浅草団左衛門も登場することから「カムイ外伝」をつい連想してしまう。 連作形式で、次々に主人公の町人武士・桐野月十郎のまわりで事件が発生してゆく…。浅草団左衛門、札差一文字屋伊之助、花川戸の甚六らがかかわり、物語は展開していく…。 作者の小杉さんは、推理小説畑の人で、時代小説デビュー作。というわけで、絵島・生島や花川戸の助六から二代目市川団十郎、赤穂浪士まで、当時の有名人が登場する豪華版。時代小説の楽しさが満喫できる一冊。 ●赤穂浪士討入りから十年。世を拗ねた無頼の御家人桐野月十郎は、吉原で春野太夫に無理心中を仕掛ける商家の手代を番頭の助太刀をするが、蔵前の札差一文字屋伊之助に上手にあしらわれてしまう…。 目次■身請け/売春宿/夜鷹純情/願人坊了哲/美人局/団十郎遺恨/消えた男/助六縁起/討ち入り異聞/陰謀/葵の紋/江島事件/出生の秘密 |
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四十七人の刺客
★★★★☆☆ [再読]
![]() カバー装画:西のぼる 解説:縄田一男 時代:元禄十四年三月十四日 舞台:鎌倉、本所松坂町、外桜田ほか。 (新潮文庫・667円・95/9/1第1刷、96/9/15第4刷・572P) 購入日:97/9/15 読破日:97/10/11 |
「四十七人目の浪士」が「歴史・時代小説フェア」の一点として新潮文庫から刊行されたのを機会に再読した。初読のときは、発想の面白さ・ストーリー展開のダイナミズムに圧倒されたが、意外に漢語が多いのに驚いた。 刃傷事件の発端から討入り事件の決着まで、現代人から見て納得のいく解釈がなされている。なかでも、新しい大石像と敵役の上杉家江戸家老色部又四郎が魅力的だ。 この作品は、1994年に高倉健さんの主演、市川昆監督により映画化されている。読んでいると、映画は見ていないのだが、健さんと中井貴一さん(色部役)の顔が浮かんでしまい困った。「小説新潮」の臨時増刊としてガイドブックも発刊された。 ●元禄十五年十月二十二日。大石内蔵助の一行は、鎌倉の明石茶屋にいた。一年八ヵ月にわたる虚々実々の謀攻の末に、ようやく討入りの機を迎えようとして、作戦を検討していた…。 目次■秋時雨/雪吊/春雷/颶風の城/旋回/見敵/卯波/始計/掩撃/夏解/謀計第二/料敵/野分/凍蝶/詭道/行春/吾亦紅/呼子笛/目睫/分合為変/虎落笛/風蕭々/寒鳥/あとがき/解説 縄田一男 |
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波のり舟の 佃島渡波風秘帖(つくだのわたしいざこざひかえ)
★★★★
![]() 装画:小村雪岱 装幀:菊地信義 時代:天保八年 舞台:佃島と舩松町。 (文藝春秋・1456円・96/7/20第1刷・285P) 購入日:97/7/13 読破日:97/10/8 |
文藝春秋が7月頃にやっていた、「江戸時代が面白い」フェアで見つけた一冊。「ページを吹き抜ける 粋でいなせな江戸の風」というキャッチコピーが付いていた。おそらく、このフェアがなかったら目に留まらなかっただろう。 副題や目次のタイトルを見るとわかるが、洒落っ気のある、江戸風の粋にあふれる作品だ。江戸情緒を味わうのにいい。登場人物たちが、のんびりしていて落語の話みたいでゆったりできる。 正太のおさななじみで漁師のむすめみつや隣家の老婆ヨシ、佃島住吉明神の宮司など、脇役も個性的に描かれている。 作者は、「佃島ふたり書房」で直木賞を受賞している、佃島の達人。時代小説も書いているとは思わなかった。 ●佃島と、対岸の舩松町の間、およそ一町(約109メートル)を往復する渡し守の正太は、職掌柄、乗客たちや佃島の島民たちに関わるいろいろな事件に巻き込まれる…。江戸情緒あふれる、連作形式の異色捕物帳。 目次■徒恋初空音佃島(たにんのはじまりねつからうそをつくだじま)/恋慕寒鯉抱佃島(このすちょうかんのまごいにだきつくだじま)/恋闇沖漁炎佃島(こいはやみおきのいさりびもえつくだじま)/納札焼杙火佃島(おさめふだはがれてまたもつくだじま)/三途銭狂言佃島(わたしちんさんもんしばいのたねつくだじま)/新玉年猫戯佃島(あらたまのとしまのねこがじゃれつくだじま)/春宵相乗舟佃島(みじかよにふたりはむすびつくだじま)/切口上 |
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木枯し紋次郎(五) 夜泣石は霧に濡れた
★★★☆☆☆
![]() カバーデザイン:亀海昌次 カバー写真:GRADE1 解説:西上心太 時代:天保九年九月 舞台:三国峠、九十九里浜、安中。 (光文社文庫・486円・97/5/20第1刷・251P) 購入日:97/7/27 読破日:97/10/6 |
1ヵ月に1冊ずつ刊行される「木枯し紋次郎」シリーズに合わせて、毎月1冊ずつ読むことにしたのだが、ついに9月は読み切れずに10月になってしまった。未読の本が溜まりすぎて、精神衛生上よくないなあって、最近痛感している。 今まで、比較的時系列的に掲載されてきた、紋次郎作品だが、5巻目に入り、時代設定が前後するようになってきた。この辺から、TV放映が始まり爆発的なブームになってきた頃かな。まあ、スーパーヒーローに年は関係ないか。 この巻では、飯岡の助五郎や大前田の英五郎らの有名な渡世人の名前が登場している。この先、実際に関わっていくようになるのだろうか。もちろん、紋次郎は関わり合いになりたくないだろうが。 「駈入寺に道は果てた」では、上州新田郡の徳川山満徳寺が登場する。鎌倉の松岡山東慶寺とならぶ関東の縁切寺(駈込寺、駈入寺ともいう)だ。東慶寺は、「駈込寺蔭始末」(隆慶一郎)や「尼寺二十万石」(宮本昌孝)、「柳生忍法帖」(山田風太郎)などの舞台にもなっているが、満徳寺の方は描かれることが少なかったので、興味深かった。 また、紋次郎の幼なじみや、隠し子?も登場するので、紋次郎ファンにはたまらない一冊。西上さんの解説も今までの話を整理するのにピッタリか。ただし、いきなりこの本を読んだ人にはちょっと辛い。 ●「馬子唄に命を託した」(天保十年九月)三国峠で紋次郎は、黄色い声で威勢よく怒鳴る馬子と出会う…。「海鳴りに運命を聞いた」(時代設定不明)九十九里の砂浜で二人の渡世人が死力を尽くして闘っていた…。「夜泣石は霧に濡れた」(天保九年九月)紋次郎は、初めての山越えで道に迷い、湯檜曾川に沿った樹海をさまよい空腹にあえいでいた…。「駈入寺に道は果てた」(天保九年十一月)紋次郎は松井田の手前で、宿屋の若旦那に護衛を頼まれるが…。「明鴉に死地を射た」(天保十年二月)佐倉に近い成田道で、紋次郎は、死骸の前で酔っ払っている浪人に出会う…。 目次■馬子唄に命を託した|海鳴りに運命を聞いた|夜泣石は霧に濡れた|駈入寺に道は果てた|明鴉に死地を射た|解説 西上心太 |