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桜田門外の変と仇討ち

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浅田次郎さんの短篇に、「柘榴坂の仇討」(『五郎治殿御始末』収録)がある。桜田門外の変によって、人生が大きく変わった二人の武士の明治維新後を描いた作品である。ちなみに柘榴坂(ざくろざか))は、高輪にあった久留米藩下屋敷と薩摩藩下屋敷の間の坂道のこと。

心形刀流伊庭道場の目録を授けられた志村金吾は、剣の遣い手として、彦根藩主井伊直弼の御駕籠回り近習役を務め、将来を嘱望されていた。水戸尊攘浪士たちの襲撃を受け、金吾は脇差で押し寄せる刺客たちと斬り結んでいたが、騒擾の中で「井伊掃部頭直弼、討ち取ったり」の声を聞いたとき、戦意を喪失し、魂は天を飛んでいってしまった。

一方、襲撃側に身を置いた直吉は、逃亡生活の末に、明治五年開通した鉄道の新橋ステーションを根城に俥引きをしていた。

その二人が変から十三年の雌伏の末に出会った。折も折、明治六年二月七日、太政官布告で仇討ち禁止令がだされた……。

赤穂浪士の討ち入り事件と対比するまでもなく、桜田門外の変後には、彦根藩士たちが主君の仇討ちを考えてもおかしくないように思われたが、世が混乱していて仇討ちどころではなかったのだろう。それに、藩士たちの忠義感も元禄の頃とは変質したのかもしれない。もっとも、彦根藩にとっての最大の仇討ちは、早々に薩長側につき、水戸家出身の慶喜が将軍の徳川家に弓を引くことだったのかもしれない。

桜田門外の変を描いた時代小説では、吉村昭さんの『桜田門外ノ変』が読み応えがある。

五郎治殿御始末 (中公文庫)

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桜田門外ノ変〈下〉 (新潮文庫)

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