弁護士で江戸川乱歩賞作家、佐賀潜さんの社会派の捕物小説

『刺青源八捕物控』

刺青源八捕物控佐賀潜(さがせん)さんの捕物小説、『刺青源八捕物控』オンデマンド本を献本いただきました。

著者の佐賀潜さんは、1914年3月生まれで、1970年8月に胃がんのため、56歳で亡くなられました。
検事を辞めた後、弁護士として活躍されて、その傍ら、推理小説を発表されました。
1962年、『華やかな死体』で第8回江戸川乱歩賞を受賞しました。

法律の入門書がベストセラーとなり、テレビ番組でコメンテーターのようなこともなさっていたそうです。
人気作家時代をリアルタイムでは知らなかったこともあり、本書の刊行ニュースを知るまで、時代小説を書かれていたことを知りませんでした。

Amazonで著者名で検索してみると、本書のほかにも、『悪の捕物帖―盗っ人あがりの岡っ引き』『乱花 藤原薬子の乱』など、絶版になっていますが、読んでみたい気になる作品も見つかりました。

「華やかな死体」で江戸川乱歩賞を受賞したミステリ作家であり、「刑法入門」などの法律入門シリーズが大ベストセラーとなった佐賀潜氏。
推理小説以外にも、「二本の指」「清兵衛流極意」などの時代小説を手掛け、晩年には本書の他に「悪の捕物帖」「佐賀潜捕物帖」の捕物小説を3作品を連載した。本書には「梅花香殺人」など刺青源八捕物控の全11編を収録。
(Amazonの内容紹介より)

目明しの源八は、深川の船頭の子として生まれ、十八歳まで隅田川の屋形船の船頭をしていました。腕っぷしが強くて喧嘩っ早く、やがてならず者の群れに投じ、博奕、たかり、殺しなどをやるようになりました。

二十八歳のとき、やくざ者の出入りがあって、源八も十八か所の刀傷をうけ、人事不省のまま、捕まりました。

このときに、取り調べをした、定回り同心川上左門は、源八を釈放し自宅に連れて帰り、医師の手当てを受けさせて、傷が治ると手先としました。

 源八は、水茶屋の主人であるが、目明しだった。身長が五尺八寸もある大男で、筋骨がたくましい。背中から大腿にかけて、大蛇の刺青があるので、世間では、“刺青源八”といわれている。年は、三十八歳の男盛りで、水茶屋の仕事は、女房のおしまに委せておき、気楽に、目明しをやっている。

(『刺青源八捕物控』「梅花香殺人」P.4より)

源八は、永代橋の袂に、“源八茶屋”という水茶屋を出し、女房のおしまに仕事を任せて、気楽に目明しをやっていました。

世人の彼に対する評価は、『江戸に目明しは多いが、刺青源八ほど、わるい奴はいない。彼奴は、盗っ人や、ならず者の味方だ』と『刺青源八のような目明しは、ありがたい。酸いも辛いも甘いも噛みしめ、俺たちの味方になってくれる。話のわかる親分さんだ』とも。

法曹界出身という著者のバックグラウンドと、本書の書かれた時代(1970年頃)を反映して、社会派の捕物小説となっているところが、この作品の特徴であり、面白さにつながっています。

刺青源八捕物控

佐賀潜
捕物出版
2020年9月20日 オンデマンド版初版発行

表紙装画:神谷一郎

目次
梅花香殺人
のび師権九郎
出し下駄奇聞
蝋人形の死体
泥棒婿
材木町の女房
平打の銀簪
直助屋敷の女
海老床の殺人
怪談古井戸の話
つばくろ新吉

本文294ページ

本書収録作品は、サンケイ新聞出版局の『刺青源八捕物控(天の巻)』(1970年8月刊)、『刺青源八捕物控(地の巻)』(1970年11月刊)等を底本に、オンデマンド版として再編集したもの。

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『刺青源八捕物控』オンデマンド本(佐賀潜・捕物出版)

佐賀潜|時代小説ガイド
佐賀潜|さがせん|作家 1914年3月-1970年8月。東京生まれ。 中央大学法学部卒業後、検事をつとめた後、弁護士となる。 1962年、弁護士経験を生かして書いた推理サスペンス『華やかな死体』で第8回江戸川乱歩賞を受賞。 ■...