一両=三十万円? 江戸の貨幣価値

磯田道史さんの『武士の家計簿』を読んだ。加賀藩の御算用者の一家が残した古文書をもとに、その家族が経験した歴史を浮かび上がらせるスリリングなノンフィクションであった。それはまた、「ある家族の生活の歴史」であるばかりか、幕末から明治の武家および士族の経済状況をわかりやすく解き明かす興味深い読み物でもあった。

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

江戸時代、金と銀の二つの通貨圏があったことはよく知られている。江戸を中心とした東日本の「金遣い」に対して西日本は「銀遣い」であった。『武士の家計簿』に登場する磯山家は、加賀藩士の家系で、金沢も「銀遣い」であり、「銀何匁」という表現がたびたび登場する。

金と銀のほかに、日常生活で使用する少額貨幣は「銭何文」という形の「銭遣い」で、これは全国共通だった。江戸時代の金・銀・銭・米の複雑な換算を、著者の磯田さんは「江戸時代の貨幣と価値」として紹介されていた。

換算単位米(石)金(両)銀(匁)銭(文)現代感覚1現代感覚2
米1石=10.967.5567027万円5万円
金1両=1.1111175630030万円5万5555円
銀1匁=0.01480.01331844000円666円
銭1文=0.00020.00020.0119147.6円8.8円

なお、その価値を当時の大工見習の賃金と米価を基準に現代と比較したものが、「現代感覚1(大工見習の賃金)」「現代感覚2(米価)」だ。この換算表のおかげで銀に関する感覚がだいぶできた。

今まで読んできた本では、1両の価値を4万円~25万円ぐらいでとらえるものが多かった。自分自身の感覚では、1両=15万円ぐらいと考えていたので、その倍ぐらいの価値と修正したほうがより現在の状況に近いのかもしれない。

磯田さんは、『殿様の通信簿』という歴史エッセイの第2弾を発売されたところ。こちらも面白そうな本である。

殿様の通信簿

殿様の通信簿