2023年時代小説SHOWベスト10、発表!

遭敵海域(1)

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遭敵海域 (文春文庫)』を入手した。作者はイギリス生まれで日本在住のC.W.二コルさんで、幕末の日本の捕鯨をテーマにした『勇魚〈上〉 (文春文庫)(下)』が海洋冒険時代小説として最高傑作の一つだった。その後、『勇魚』の主人公鯨捕りの甚助の息子で海軍士官の銛一三郎(もりいちさぶろう)が活躍する『盟約 上 (文春文庫 ニ 1-4)』が刊行され、『遭敵海域 (文春文庫)』はその続編に当たる作品。

時代は第一次大戦直前に設定されているので、時代小説と呼ぶには少し違和感がないでもないが、『勇魚』から始まる銛一家の大河小説として捉えると、時代小説に含めてもいいのではないかと思う。

ニコルさんは、長年、新潟の黒姫で生活し、日本の社会や文化、歴史に精通しているが、この作品は英語で書かれて、村上博基さんによって翻訳されて出版されている。文芸書としては珍しい出版スタイルである。翻訳物のように新奇な文体ながら、作品背景にはなじみ深さを持つという特性をもつ。時間があれば、ぜひ原文でも読んでみたい。

なお、ハードカバーでは、『特務艦隊』も刊行され、ファンとしてはうれしい限りだ。