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知恵伊豆vs.水戸光圀の対決が見どころ

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上田秀人さんの『織江緋之介見参 不忘の太刀(わすれじのたち)』を読んだ。文庫本の発売は1年ぐらい前で、ずっと気にかかりながら読めずにいた本で、スッキリした。上田さんは『竜門の衛』でデビュー以来、文庫書下ろしで10タイトルほど、長編をリリースされている。いずれもハラハラドキドキで、趣向を凝らした、エンターテインメント度の高い面白い作品ばかりで、外れがない作家の一人だ。

『不忘の太刀』は、『悲恋の太刀』に続く、「織江緋之介見参」シリーズの第2弾。主人公は、将軍家剣術指南役小野次郎右衛門忠常の三男・小野友悟こと織江緋之介。吉原の用心棒を務めながら、大切な人を守りきれなかった後悔に苛まれ、なにもかも捨てて放浪し、高崎の刀鍛冶の旭川(きょくせん)の元に身を寄せていた。

時は万治三年(1660)九月、下総国佐倉城主堀田上野介正信は願人坊主姿で、駒込の水戸藩中屋敷を訪れた。執政を非難し、所領を返上する上申書を書き、無断で出家し、徳川光圀に別れを告げに来たという。幕閣の不穏な動きを察知した光圀は、織江緋之介を探せと命じるが……。

堀田正信の奇行と、三代将軍家光が亡くなったときの殉死、家光の弟忠長の自害の謎を絡めて描いた時代小説。もちろん、織江緋之介の剣の冴えも堪能できる見せ場はたくさんある。敵役として、老中首座松平伊豆守信綱が配されていて、悪巧みと執念深さでいい味を出している。

悲恋の太刀―織江緋之介見参 (徳間文庫)

悲恋の太刀―織江緋之介見参 (徳間文庫)