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鷹匠頭と鳥見役が出てくる時代小説

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上田秀人さんの「織江緋之介見参」シリーズ第三弾の『孤影の太刀』を読んでいる。

家康が吉原に隠した秀吉の秘宝を失ってからというもの、松平伊豆守信綱は、吉原を守り邪魔立てした緋之介に恨み骨髄。余命がわずかと知り、今また緋之介を陥れんと、南町奉行の神尾備前守に命を下す。その後、小普請の御家人・緋之介に突然の役付きの知らせがあり、盟友の徳川光圀に相談するも……。

今回は、緋之介と信綱の対決のほかに、保科肥後守正之の娘・媛姫(はるひめ)の死の謎、鷹匠頭(たかじょうがしら)と鳥見役の対立が描かれている。

中村彰彦さんの『保科肥後守お耳帖』でも、媛姫の事件は描かれていた。

保科肥後守お耳帖 (角川文庫)

保科肥後守お耳帖 (角川文庫)

鷹匠頭と鳥見役の対立というと、奇異な感じがする。ともに将軍家お鷹狩り関係者であり、鳥見役は鷹匠頭の支配下にあるからである。だが、両者の身分の違いは大きい。鷹匠頭は千石以上の旗本の世襲(間宮家と戸田家)であるのに対して、鳥見役は町方同心と同じく一代抱え席でお目見え以下。組頭になると、在職限りお目見え格にあがる。組頭は二百俵高、五人扶持、伝馬金五両、平役は八十俵高、五人扶持、伝馬金十八両を給された。

鳥見役の生活を描いた時代小説といえば、諸田玲子さんの『お鳥見女房』が思い出される。

お鳥見女房 (新潮文庫)

お鳥見女房 (新潮文庫)