単行本★時代小説新刊情報|2023年7月の新刊(1日→末日)
2023年7月1日から7月末日の間に、単行本(新書含む)で刊行される時代小説、歴史関連書の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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山本一力さんの『亀甲獣骨 蒼天有眼 雲ぞ見ゆ』
物語の舞台は、清代末期。中国大陸に進出したイギリス、ドイツ、フランスをはじめとする西洋列強は、中国各地で分割支配を強めていました。
そんななか、杭州に暮らす丁仁は、金石学者である父の後を継ぎ、学究に勤しんでいました。
ある日、生薬である「竜骨」に神秘的な図形や文字のようなものが刻まれていて、北京で騒動になっていることを耳にした丁仁は、その子細を調べようとしました……。
時代小説の名手が新境地に挑みます。
乾緑郎さんの『戯場國の怪人』
江戸市村座では桟敷席を予約し続ける謎の人物の噂が立っていました。女形瀬川菊之丞、戯作者平賀源内、二代目市川團十郎、講釈師深井志道軒、広島藩士稲生武太夫、大奥御年寄江島など多彩な人物と、さる公卿とその妹らを巻き込み、芝居小屋の地下で蠢く時を超えた怨讐、恋着、役者の業火等々。虚実のあわいを壮大に描き切る伝奇エンタメ小説です。
畠中恵さんの『いつまで』
若だんなが行方不明になり、長崎屋の不運が幕を開けました。
長崎屋から妖が消えました。最初は噺家の場久、次は火幻医師。彼らを探すため、影内に紛れ込んだ病弱若だんなは、すべて西から来た妖・以津真天の仕業だと知ります。大事な友を救うため、果敢に悪夢に飛び込んだ若だんなだが、目覚めた先はなんと五年後の江戸。鍵を握るのは、以津真天なのか、それとももっと大きな力なのでしょうか。
安部龍太郎さんの『ふりさけ見れば (上)(下)』
唐使は日本の朝廷からどのような命を受けて派遣され、中国で何をしていたのでしょうか。
日本とユーラシアを結びつけるのは、唐で科挙に合格し玄宗皇帝の側近にまで出世したたぐいまれなる日本人・阿倍仲麻呂、そして仲麻呂とともに唐に渡り当時の大唐帝国のすぐれた文化・政治制度を内政に移植した学者にして政治家の吉備真備。唐からは、玄宗皇帝と楊貴妃、安史の乱を起こした安禄山、大詩人の李白や杜甫など、日本でも多くの逸話が知られる人物が続々と登場します。ついに帰国できなかった阿倍仲麻呂が日本の朝廷から帯びていた重大な密命とははたして……。
奈良時代の日本を、ユーラシア大陸・東アジアの中に位置づけて描いたスケールの大きな歴史小説です。
王暁磊著、後藤裕也監訳さんの『曹操 (7) 卑劣なる聖人』
河北を平定し、天下統一が現実味を帯びてきた曹操。まずは烏丸へ遠征して袁尚を亡き者にし、返す刀で荊州を屈伏させます。残る敵は孫権と憎っくき劉備だけ。いよいよ赤壁の戦いの火蓋が切られます。 曹操の50代半ば、西暦206年-210年を描きます。 劉備、諸葛亮、周瑜はもちろんのこと、趙雲、孫権、魯粛、黄蓋、郭嘉、董昭、許攸、曹沖らが登場します。曹操を中心に置き三国時代の興亡を描いた大河小説の第7巻。ファン待望の刊行です。
平谷美樹さんの『虎と十字架 南部藩虎騒動』
徳川家康から南部藩に拝領され、盛岡城内で飼われていた虎二頭が檻から飛び出しました。徒目付の米内平四郎は城下町に逃げた一頭を見事に生け捕りにしますが、もう一頭は傍若無人の若殿・南部利直に鉄砲で撃ち殺されてしまいました。
平四郎が城に駆け付けると檻の見張りをしていた番人は絶命していました。
責任を取って腹を斬ったと思われたが、その死因には不審な点が。さらに檻の中にいるはずの囚人の死体が消えていました。
密命を受けた平四郎が藩を揺るがす大騒動の謎に挑む、歴史時代ミステリー。
門井慶喜さんの『天災ものがたり』
地震、津波、火事、飢饉、豪雪、火山の噴火、河川の氾濫……。江戸時代初期から、明治、昭和まで、日本史上に起こった大災害を克明に記した圧巻の連作短篇小説集。
「囚人」では、江戸時代初期、明暦に起きた大火を描いています。その時、小石川の牢屋に入っていた男を救った奇跡とは?
砂原浩太朗さんの『霜月記』
『高瀬庄左衛門御留書』『黛家の兄弟』に続く、架空の藩の「神山藩シリーズ」最新作。
名判官と謳われた祖父、何の前触れもなく失踪した父、重責に戸惑う十八歳の息子、町奉行を家職とする三代それぞれの葛藤と遊里で起こった殺人事件を描いた武家小説。
北方謙三さんの『チンギス紀 十七 天地』
草原に生まれ、大地を駈け、かつてない規模の国を築いたチンギス・カンが、最後の戦場に立ちます。
「チンギス紀」全17巻、ついに完結。
宮部みゆきさんの『青瓜不動 三島屋変調百物語九之続』
行く当てのない女たちのため土から生まれた不動明王。悲劇に見舞われた少女の執念が生んだ家族を守る人形。描きたいものを自在に描ける不思議な筆。そして、人ならざる者たちの里で育った者が語る物語。
恐ろしくも暖かい百物語に心を動かされ、富次郎は決意を固めます……。
宮部みゆきのライフワーク、待望の第九弾。
蝉谷めぐ実さんの『化け者手本』
ときは文政、ところは江戸。心優しき鳥屋の藤九郎と、稀代の女形だった元役者の魚之助のもとに、中村座の座元から事件の話が持ち込まれました。
舞台の幕が下りたとき、首の骨がぽっきり折られ、両耳から棒が突き出た死体が、客席に転がっていたと。演目は「仮名手本忠臣蔵」。死人が出るのはこれで二人目。
真相解明に乗り出したふたりでしたが、芸に、恋に、義に、忠に生きる人の姿が、彼らの心を揺さぶって……。
「化け者」シリーズ、待望の第2弾。
★2023/7/15追記
百舌鳥遼(もずりょう)さんの『尽くす誠の桑名藩の維新』
将軍・慶喜に従い戊辰戦争で京から敗走した松平定敬は、各地を転戦し、函館五稜郭に向かいます。そして主人を失った桑名城では、民百姓の命を優先する若きリーダー・酒井孫八郎が奇抜な説得工作で藩論をまとめ無血開城を果たしました。幕末動乱期の桑名を発した転戦の日々、若者たちの熱情、忠義、葛藤を描いた歴史小説。
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