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忍者侍☆らいぞう 魚売りのはつ恋に肩入れする

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忍者侍☆らいぞう 魚売りのはつ恋に肩入れする忍者侍☆らいぞう 魚売りのはつ恋に肩入れする
(にんじゃざむらいらいぞう さかなうりのはつこいにかたいれする)
翔田寛
(しょうだかん)
[捕物]
★★★☆☆

ワカマツカオリさんのおしゃれで今どきの表紙装画と、『忍者侍☆らいぞう 魚売りのはつ恋に肩入れする』という、少し人をくったようなタイトルで、どんな物語か興味津々で読み始める。

「やわら侍・竜巻誠十郎シリーズ」が全七巻で完結して淋しい思いをしていたが、同じ作者による新シリーズがスタート。しかも、主人公の竜巻雷蔵は、やわら侍の竜巻誠十郎の孫という設定。祖父の誠十郎のその後については、物語の中で少し触れられている。

主人公の雷蔵は、奥州白河藩の元忍び侍(ということは松平定信配下だったということ)。頭領の武田鹿砦配下のくノ一の多くが雷蔵に思いを寄せたことが原因で破門されて江戸に出てきたという設定で、市川雷蔵を想起させるイケメン。しかし、その反面、朝寝坊で、酒飲み、軽薄でいい加減な性格のキャラで、何もかも誠十郎とは対照的。

さて、雷蔵が江戸で関わる最初の事件は、十年前に起こった火事で行方不明になった、魚屋の恩人探し。単なる人探しのはずが、火事に隠された真相が明らかになるにつれて、意外な展開を見せる。ポップでライトノベル感覚で読める物語になっている。

主な登場人物◆
竜巻雷蔵:奥州白河藩の忍び侍だったが、放逐になり江戸に出てくる
徳兵衛:植木屋《植徳》の主人。裏で《よろず駆け込み処》として、頼まれ事を引き受ける
さゆり:徳兵衛の孫娘
高木新三郎:旗本の三男
吉次郎:小石川下富坂町の魚屋《魚吉》の主人
冬蔵:吉次郎が探している、鳥越町のしもた屋に住んでいた、旧恩のある亭主
おきぬ:冬蔵の女房
おさき:冬蔵のしもた屋に暮らす少女
おくま:冬蔵の家の下女
又七:鳥越町に住んでいた下駄職人
塙陣佐:白河藩お抱えの忍び侍
平治:浅草阿部川町の岡っ引き
久吉:下谷金杉町に住む焼接屋

物語●文政元年六月、奥州白河から一人の男が江戸にやってきた。男の名は竜巻雷蔵で、白河藩お抱えの忍び侍(忍者)だった。くノ一(女忍者)の多くが雷蔵に思いを寄せて、忍びとして使い物にならなくなってしまうという理由で、頭領から放逐される。
江戸では、染井稲荷近くの植木屋《植徳》で見習いとして居候することに。老主人の徳兵衛は、植木職のかたわら、若い時分に十手を預かったことから、町内の相談事が持ち込まれる。
そんな《植徳》に、魚屋の吉次郎から十年前に世話になった恩人探しの依頼があった。腰を痛めている徳兵衛の代わりに、孫娘のさゆりと雷蔵が人探しをすることに…。

目次■幕開き/第一章 飛び込んできた男/第二章 二人で人探し/第三章 謎また謎/第四章 罠/第五章 哀しき想い/終章 さよならはつ恋/解説 宇田川拓也

カバーイラスト:ワカマツカオリ
カバーデザイン:沼田美奈子
解説:宇田川拓也
時代:文政元年(1818)陰暦六月
場所:鳥越町、染井稲荷、浅草寺、駒込蓮華坂、本所荒井町、下谷金杉町、浅草阿部川町、湯島天神裏門坂、猿若町、五間堀のほとり、橋場町、浅草西仲町、巣鴨仲町、小石川下富坂町、下谷広小路、浅草田町、蛇骨長屋、ほか
(祥伝社・祥伝社文庫・552円・2011/12/11第1刷・284P)
入手日:2012/01/03
読破日:2012/01/05

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